悪質なパソコン修理業者に9カ月の業務停止命令
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東京都は2019年12月26日、特定商取引法違反(広告における表示義務違反、誇大広告等の禁止、承諾等の非通知、債務履行の不当遅延、申込の内容を容易に確認および訂正できるようにしていない)および、東京都消費生活条例、同条例施行規則違反で、東京都港区にあるオルネスホールディング(株)と同社の代表取締役小杉諭史氏)に対し、9カ月の業務停止命令を下した。業務停止期間は2019年12月27日から2020年9月26日までとなっている。
消費者機構日本(COJ:コージェイ)によると、同社は中小企業向け広告制作・映像制作・HP制作などのほか、パソコンの修理などを手がけている。ウェブ上で、「オープンリペア」や「とうきょう修理」などの屋号名を用い、「どんな修理でも4,980円」「作業費と部品代のみでパソコン修理ができる」などとうたっていた。
しかし実際は一般消費者からパソコンが届くと見積書を送り、「データを残して修理をするには別途有料のコース契約を締結する必要がある」ことを初めて知らせるなどしていたため、COJは特定商取引法に定められている表示義務違反、有利誤認表示にあたるとして、同社に対し差止請求の申し入れを行うなどしていた。
東京都生活文化局の担当職員によると、2017年頃から、「事業者にパソコンを送付した後、有料の修理コースの詳細を初めて明らかにされた」「修理の内容に納得がいかない」などといった苦情が一般消費者から寄せられるようになり、都は独自に調査を開始。その過程で、前述の表示義務違反などのほか、同社に修理費が振り込まれた後、「見積書に記載以外の部品で障害を確認した」として追加で修理代金を請求するなどしていただけでなく、一般消費者がその詳細を尋ねても、「守秘義務があるので回答できない」などと具体的な修理内容を教えないといった不誠実な行為が確認された。
さらには、予定日を大幅に過ぎてからパソコンを修理・納品し、修理の内容に納得できず連絡をしてきた一般消費者に対して、「裁判になります」「謝罪広告を大手全国紙に載せていただく」などと威迫する行為を行っていたことも明らかになった。
都は調査と合わせて改善を促していたが、同社はその後電話や郵便等の連絡に一切応じなくなり、事務所も閉鎖。事態を重く見た都は、同社に対し「公示送達」による業務停止命令を下した。都の職員によると、2016年に特定商取引法に公示送達の規定が導入されてから行う業務停止・業務禁止命令処分としては、全国初の事例となる。
これを受けて同社はHP上で、「弊社の行政処分に係るお詫びとお知らせ」と題したリリースを公表。「今般の行政処分を重く受止め、慎んで処分を受けるとともに、関係者の皆様方に対して心からお詫び申し上げます」とし、今後は第三者委員会を設置して事実の調査と原因究明を徹底的に行い、再発防止策を検討していくとしている。また、「社会的な企業の責任についても再度認識を深め、全従業員が再発防止に向けて真摯に取り組み、皆さまの信頼回復に全力を注いで努めてまいります」としている。
その一方、都が調査過程で同社が事務所の閉鎖などを行い、電話や郵便等の連絡に一切応じなくなったとしている点については、「本件に関しては事実ではございませんので、弊社の顧問弁護士と協議の上、対応にあたっております」としている。
【長谷川 大輔】
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