【検証】ゴーン逃亡~「残酷司法」から「国権濫用司法」へ(前)
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ゴーン夫人逮捕状請求とその認容、そしてICPO手配について
外国に居住し、証言に協力したゴーン夫人を偽証容疑で逮捕状を請求し、それを裁判官が認容し、さらにはICPO手配を申請した。おそらく偽証罪で国民を国際手配した国は地球上で日本だけである。なぜなら偽証は手段や過程の行為であり、本体の犯罪を度外視して偽証罪だけを国際手配するなど、よほど馬鹿な司法官憲が君臨する「帝国」しかないからである。
日本の偽証罪は検察官の威嚇手段としてしか機能しておらず、日本の立証技術と法学理論では実質的には社会正義実現効果が期待できない刑罰法規である。以下、中学生にでも理解できるようにやさしく説明していこう。1:被疑事実
キャロル夫人(以下、夫人と記す)は敵性証人のAを知っているかとの質問に「知らない」と答えたことが偽証にあたるとして逮捕状が請求され、認容された。
ここで、敵性証人とは検察官がゴーンの犯罪事実を立証するため、検察側証人として証言する予定の証人のことをいう。
偽証罪の構成要件の1つは、真実に反する証言をすることである。また、それが証人の記憶と反すること、つまり、記憶の通りに証言すれば、それが真実に反しても罪とならない。これが日本の偽証罪に関する通説である主観説である。2:犯罪事実の証明の明らかな矛盾
検察は夫人の偽証を立証するためには「婦人がAを知っていたこと」を立証しなければならない。ここで誰でも検察の質問とその後の行動の矛盾に気付く。検察は夫人がAを知っていることをすでに知りながら「知っているか」と聞いたわけである。そこで夫人が「知らない」と答えたために、検察はそれが「偽証」と判断できた。つまり、検察は初めから夫人を「罠」にかける質問をした。なぜなら、検察は夫人に聞くまでもなく、婦人がAを知っているとする証拠をもち、「知っている」と事前にわかっていたからである。わかっている事項をあえて質問するのは、婦人が知らないと答えることを予想して、婦人を犯罪加担者であり正直者ではない、すべての証言が信用できない、と弾劾するための罠であった。
3:夫人の証人尋問は違法手続である。
検察の描く見立てによれば、夫人は犯罪の共犯者の位置にある。そのような地位にある人に対する質問は不意打ちをさけ、罠をさけるために、事前に尋問事項を通知することが、公正な手続である。民事裁判ではそれが原則になっている。夫人に対する質問はある意味、「犯罪に加担したか否か」と問うことに等しい。そのような質問であれば、誰にでも憲法上の自己負罪拒否特権、つまり、証言拒絶権や黙秘権が保障されている。夫人には十分な権利保護が保障されていなかった可能性が大である。
(つづく)
【凡学 一生】
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