【ギラヴァンツ北九州】ともに戦い、挑み、行動する サッカーを通して地域に活力を(後)
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(株)ギラヴァンツ北九州 代表取締役社長 玉井 行人 氏
――しかし当時、クラブ内から反発もあったとうかがっています。
玉井 「哲学などいらない」など社内からの反発は強かったですね。それでもプロのサッカークラブとして、また、企業として健全に活動するためには、哲学は必要です。そう決断していたので、当初はほとんど私1人で改革のために行動しておりました。
まずは、選手も31名中16名とは契約を更新せず、それまでの強化部長、監督、コーチと契約を更新しませんでした。すべて代表である自分が断行いたしました。とても苦しい時間でしたが、不退転の意志で実行しました。
そして、指揮官=監督の人選で全国を回り、10名以上の方々と会いました。皆さまクラブを再建することには魅力があったようですが、私が掲げたフィロソフィーを理解していただける方がいませんでした。
そのようななか、これまで4回昇格させた実績をもつ小林伸二さんとご縁がありました。年の瀬の12月初旬にお会いして、ギラヴァンツのフィロソフィーを理解していただき、またサンフレッチェ広島の育成担当時代に北九州のサッカーを見てくださっておりました。決め手は「玉井社長始めクラブの方々、サポーター・ファンなどギラヴァンツを支えてくださる方々にサッカーの楽しさを伝えたい」と、監督に就任していただきました。
そして、トップチームの強化から若手育成まで担当するスポーツダイレクターも兼務とした小林監督が誕生いたしました。そして、新たな12名の選手と契約を行い、そのうち7名は新卒の選手です。コーチ陣も新生し、「体力、フィジカル面が大きな課題」としてJ1からフィジカルコーチを招聘するなど体制を改編いたしました。そして3カ年計画が始まりました。Jリーグクラブではシーズン中に異例の2部練習を敢行いたしました。
クラブと地域の一体感
――そして快進撃での再起でした。
玉井 フィールドは小林監督、そしてコーチングスタッフと選手がフィロソフィーを心に刻んでハードワークして、戦いに挑みました。戦い方と目標を明確にしながら1戦1戦戦いました。フロント・マネジメント側も、フィロソフィーに賛同してくれたメンバーとともに営業面やホームタウン活動を始めとした地域社会との関わりの活動に取り組んでくれました。ギラヴァンツというクラブが一丸となり、そしてサポーター・ファンそしてスポンサー始めとしたステークホルダーの方々が全面的にご支援くださりました。
まさに、北九州のDNAが結集し、クラブと地域が一体となったことで、どん底から再起することができました。
――ギラヴァンツの改革が続く、2020年シーズンの開幕が待ち遠しいですね。
玉井 ありがとうございます。J2は想像以上に厳しい戦いが予想されます。プロサッカーのクラブですので最良の成果を掲げることはもちろんですが、まずはJ2で戦うための土台を構築することが大切です。育成・強化のエキスパートである小林監督に新たな期待を寄せております。
そして、何度も申しておりますが、私はサッカーの素人でしたので、サッカーとゆかりのない方々がギラヴァンツに興味をもっていただき、スタジアムにお越しいただくために、サッカーというコンテンツをメインにした地域ブランディングを手がけていきます。
つまり、ギラヴァンツのサッカーそのものが、地域の活力をもたらす存在になるために、日々変化し、進化いたします。それは、私自身が常に自らを省みて変わっていくことです。
(了)
【文・構成:河原 清明】<プロフィール>
玉井 行人(たまい・ゆきと)
1957年7月、北九州市若松区生まれ。早稲田大学を卒業後、83年に西日本新聞社に入社。編集局社会部、東京報道部、久留米総局長などを経て、2012年から北九州本社副代表兼編集長、13~17年まで執行役員・北九州本社代表。18年1月からギラヴァンツ北九州代表取締役に就任。関連記事
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