2024年11月05日( 火 )

国内での感染拡大リスクに対応しない安倍内閣

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は安倍内閣の「おもてなし」は実は「うらばかり」とした2月13日付の記事を紹介する。


 新型肺炎への対応が安倍内閣の危機対応能力を鮮明に示している。

 ウイルスの日本への侵入を遮断するのか。ウイルスの侵入は遮断できないとして、侵入を前提とした対応策を取るのか。まずは基本判断が必要である。

 折しも大型クルーズ船の帰港があった。ダイヤモンド・プリンセス号は1月20日に横浜を出港し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、沖縄を経由して2月4日に横浜に帰港するスケジュールで航行されていた。日本への帰還は2月1日の那覇港への帰港で達成されている。那覇港を経て横浜港に帰港する予定だった。

 この便に香港在住の男性が1月20日に横浜で乗船、1月25日に香港で下船した。下船後、新型肺炎に感染していることが明らかになった。そのため、沖縄を経由したダイヤモンド・プリンセス号の乗員・乗客は横浜での下船が許可されず、そのまま船内に拘束されることになった。

 ダイヤモンド・プリンセス号は洋上に浮かぶ監獄と化した。安倍内閣は最初の段階で乗員・乗客全員にPCR検査を実施すべきだった。ところが、実際に検査が実施されたのは273人。このなかから61名の感染が確認された。

 しかし、全員に対する検査が行われないなかで、乗員・乗客の感染が広がった。2月13日時点で船内での感染者数は218人に達した。船内に拘束したことで感染者数が拡大した可能性が高い。最初に全員に対するPCR検査を実施しなかった判断の誤りが被害を拡大させたといえる。

 船内ではシーツの交換も部屋の清掃も行われず、衛生状態の悪化も懸念されている。安倍内閣は「おもてなし」を売りにしているようだが、安倍内閣の「おもてなし」の驚くべき実態が世界中に人々に伝播されている。

 安倍内閣はウイルスの日本の侵入を水際で遮断するとして、3,711名もの乗員・乗客の船内拘束の方針を決めて実行したようだが、これと整合性のある水際対策が実行されてきたのか、はなはだ疑問である。

 最大のポイントは中国からの人の移動を禁止していないことだ。中国では武漢市の封鎖などの措置が採られたが、中国での感染は武漢市および湖北省にとどまっていない。武漢市が封鎖される前に、多くの人が武漢市から中国全域に移動している。そのため、中国全土で感染が広がりを示している。

 その中国からの人の移動を制限せずに、ウイルスの日本への侵入を防げるわけがない。新型コロナ・ウイルスは、感染者のなかに症状のない人がいることが大きな特徴である。つまり、入国の際の問診では感染者の入国を防げない。

 入国に際して、全員にPCR検査が実施されるなら、まだ水際対策という言葉が意味をもつかもしれない。しかし、その場合でも、当初は陰性であった人が日数を置いて陽性に転じることがあるから、ウイルスの国内への侵入を遮断することは極めて難しい。

※続きは2月13日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「『おもてなし』が悪魔の辞典に収載される日」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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