製造小売から情報製造小売へ~SPA世界ナンバーワンを目指す(4)
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(株)ファーストリテイリング
カジュアル衣料専門店「ユニクロ」を展開する(株)ファーストリテイリング。SPA(製造小売)のビジネスモデルで急成長してきた。ユニクロは国内外に2,000店舗超。その他のブランドを合わせると約3,500店舗を展開する。売上高は2兆円超え、世界の大手SPAと肩を並べる。現在、製造小売から抜け出て情報製造小売に変貌を遂げようと、新たな挑戦に向かっている。それは、情報を中心とした新しいサプライチェーンへの変革だ。
O2Oで利便性を向上、成長エンジンはジーユー
今後も店舗網の拡大で成長が見込まれる海外に対し、国内市場は人口の減少や高齢化社会の影響により、市場そのものが縮小しているという厳しい状況にある。そうしたなか、出店で成長を図るのではなく、Online to Offline(O2O)で活路を見出そうとしている。
強力な店舗網を使いO2Oビジネスを効率的に運営し、Eコマースと店舗がつながる新しいビジネスを構築することに力を入れている。
具体的には2018年度から「ユニクロ店舗受取り」「コンビニエンスストア受取り」のサービスを開始し、利用者は約30%を占めるまでになった。
店舗で買っても、Eコマースで買っても、便利にショッピングを楽しめるO2Oを、さらに普及させていこうとしている。
価格政策においても、新機軸を打ち出した。競合他社に比べて、高品質で買いやすいユニクロの価格は強みとなっているが、2016年の春夏シーズンから「毎日お買い求めやすい価格」戦略をスタートさせ価格強化に取り組んだ。
こうした施策でユニクロの国内店舗を維持しながら、新たな成長エンジンとして位置づけているのがジーユーだ。
ジーユーの価格はユニクロの3分の2から半分ほどだ。潜在ニーズもかなりあり、今後も成長が期待でき、アジア市場でも展開することは十分に可能とみている。
ジーユーは旬の商品を大量に売ることを目指しているが、有明プロジェクトにより、ファッションのあらゆる情報を、デジタルを駆使して収集し分析する力が飛躍的に向上することで、その精度も飛躍的に高まると考えている。
ユニクロは現在、ZARAやH&Mなどのグローバルブランドと世界各地で競い合いながら、グローバルブランドとして各国・各地域のローカルブランドと競争している。
ZARAやH&Mはファッション性を重視したブランドだが、ユニクロは、ライフウエアというベーシックなウエアを中心とするコンセプトで支持を得てきた。ライフウエアとは、「本当に着心地が良く、高品質でファッション性があり、誰にでも手が届く価格の究極の普段着」。流行を追うファッションアパレルとは異なり、人々の生活に密着する。
ユニクロの服は、日本のものづくりの価値観を継承し、細部までこだわった服をつくり続けてきた。着る人が主役になる、シンプルで完成度が高い服、技術革新の成果である新素材を大胆に使った服、あらゆる人のための上質な服を提供してきた。
これからもこのスタンスを堅持し商品を開発、グローバルブランドとしてたしかな成長を続け、将来的には売上収益ともに、世界ナンバーワンのアパレル製造小売業になることを目指している。
(了)
【西川 立一】<COMPANY INFORMATION>
代表者:柳井 正
所在地:山口県山口市佐山717-1
設 立:1963年5月
資本金:102億7,395万円
売上高:(19/8連結)2兆2,905億円流通メルマガのご案内
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