2024年12月22日( 日 )

人災としてのコロナウイルス感染拡大

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回はダイヤモンド・プリンセス号における安倍内閣の対応のまずさを指摘した2月15日付の記事を紹介する。


 想定された事態が発生している。日本全国で新型コロナウイルス感染者が確認され始めた。しかも、中国・湖北省から日本に移動した人、中国・湖北省を訪問した人ではない。

 そもそも、2月4日に横浜に帰港する予定だったダイヤモンド・プリンセス号から1月30日に香港で下船した後に感染が確認された男性が中国・湖北省を訪問していない。この男性の感染が確認されたために、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客、乗員の横浜での下船が安倍内閣によって阻止された。その結果、ダイヤモンド・プリンセス号は洋上監獄と化して現在に至っている。

 洋上のウイルス培養船と化しており、驚異的な数の感染者を生み出している。そのなかの10名の方が重症になっている。乗客が安倍内閣に対して損害賠償訴訟を提起することは間違いないだろう。

 安倍内閣のクルーズ船への対応は、水際対策としてのものだった。ウイルスの日本への侵入を許さないというものだ。そのために、ダイヤモンド・プリンセス号を洋上ウイルス培養船として、多数の乗員、乗客への感染を放置してきた。

 最大の誤りは、全員に対するPCR検査を行っていないこと。現時点でも全員に対するPCR検査を実施していない。

 検査技術は確立されており、多人数に対するPCR検査を実施する体制を整備することに全力を挙げるべきだった。これが実行されていれば、体制は確立できていたはずだ。しかし、安倍内閣は検査可能件数を最大に引き上げる対応を実行してこなかった。

 ダイヤモンド・プリンセス号の乗員、乗客に対して、いまなお全員の検査を実施していないことが、この姿勢を鮮明に示している。安倍内閣はダイヤモンド・プリンセス号に対しては「水際対策」を根拠に多数の高齢者を洋上監獄に拘束したが、国内対応では水際対策を実行しなかった。

 中国からの人の移動を禁止しなければ、感染者がいくらでも日本国内に入国する。新型コロナウイルスの大きな特徴は、無症状の感染者が存在することだ。空港での問診では、無症状感染者の入国を遮断できない。さらに安倍内閣は、感染が疑われる者に対するPCR検査を実行してこなかった。

 安倍内閣は、ウイルス検査対象者を
1:37.5度以上の発熱とせきなどの呼吸器症状がある
かつ
2:発症2週間以内の湖北省への渡航歴がある

 または湖北省に訪問歴がある人と濃厚接触した人としてきた。このため、感染が疑われる人が検査を受けられず放置されてきた。

 感染者がいくらでも国内に入国する。感染の疑いがある人に対する検査を安倍内閣が拒絶する。この対応の下で国内での感染者が大量発生することは時間の問題だと考えられてきた。他方、クルーズ船乗客、乗員に対しては、全員に対する検査を実施せずに、閉鎖された洋上監獄での拘束を続けてきた。

※続きは2月15日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「クルーズ船と国内両方で感染増殖の安倍内閣」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

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