中国経済新聞に学ぶ~日本経済への影響度はどれほどか(前)
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全国展開している居酒屋の「ワタミ」は2月5日、新型コロナウイルスの影響により中国のすべての直営店を閉店すると発表した。
日本最大の居酒屋チェーン店である「ワタミ」は、2005年に深センで1号店をオープンし、その後上海、蘇州、広州でも店を構え、現在は中国に7店舗を有している。ワタミによると、新型コロナウイルスの影響を受け、春節期間中の各店舗の売上高は例年の20分の1まで落ち込んだ。中国各地で会食を自粛するようにとの指示が出され、さらに外出が厳しく規制されていることから、客足の減少傾向に歯止めがかからず、経営が苦しくなり、全店舗を閉鎖して中国から撤退すると決定したのである。
新型ウイルスの発生以来、日本企業が中国撤退を決めたのは初めてである。
ウイルスによる日本経済への影響について、以下4つの点をまとめてみた。
まずは、中国に進出している各社の生産や営業面についてである。
海外に進出している日本企業はおよそ7万社あり、このうち中国にはおよそ3万5千社ある。今回の感染問題を受け、ユニクロが湖北省の160店舗を閉鎖したほか、無印良品は武漢などの計59店舗を、イオングループは武漢のショッピングセンター3カ所をそれぞれ閉鎖した。各地の政府が「外出禁止令」を発したことから、ユニクロとイオンは中国にある1,000店以上の売上高がいずれも大幅に落ち込んでいる。
また、上海、北京、深セン、蘇州などの日本料理店も、大変苦しい状況である。
武漢には、自動車メーカーのホンダが3工場を構えており、年間生産台数は60万台であるが、2月末までに稼働を再開できるかめどが立っていない。ホンダは天津と江蘇省太倉市にも自動車とオートバイの生産拠点を有しているが、業務の再開は10日以降という。これら中国の3拠点で、生産能力は合わせて自動車が125万台、オートバイが210万台を数え、また中国人社員3万人以上が勤務している。出勤を控えている現在も、会社として給与を支払わなければならない。
3万5千社以上の日本企業に勤務する中国人社員は合計1,000万人以上。両国の企業がともに経営困難に陥っている。
2つ目は、生産体制である。
部品の一部の製造を委ねている中国側の工場で、停産が長引いていることから、国内の組み立て工場への供給が追い付かない状態になり、産業体制全体でウイルスの影響を受け始めている。
在庫をもたずコストを抑える経営モデルを敷いているトヨタ自動車は、中国にある主な部品メーカー7社がいずれも停産状態であり、再開の時期は早くて2月17日以降になるという。
そのトヨタのエアバッグやフロントグリルのほぼすべてを中国の工場で製造し、日本のほかアメリカにも輸出している豊田合成の取締役・岡正規氏は、1月31日の記者発表会で、現状から見て仮に生産を再開しても物流に問題があり、海外での代替生産を考えなければならないと述べた。
同じくトヨタの主力部品メーカーであるデンソーの経営役員である松井靖氏は、工場は湖北省から離れているので停産が長引く可能性は小さいとしながらも、感染対策が長期にわたる覚悟をし、他地域での製造も要検討であると述べた。アイシン精機も、中国での部品生産を日本に戻す方向で検討しているという。ホンダも、武漢での部品製造業務をフィリピンの工場にシフトすると決定している。
日産自動車は2月10日、中国で製造している部品が調達不能になったため、福岡県にある九州工場を14日から操業停止すると発表した。トヨタもエンジンを製造している愛知県の下山工場で、ラインの一部を止めている。
(つづく)
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