クイーンズヒルゴルフクラブ元支配人 クラブ運営の将来を憂う
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(株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場 前代表取締役 支配人 横田 俊介 氏
(株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場(以下、クイーンズヒル)の株式保有権をめぐって訴訟していた、現代表取締役・田原司氏と前代表取締役・横田俊介氏。2019年12月20日福岡高裁は、原告・司氏の主張である全株式保有を認め、司氏が裁判に勝利した。
そのようななか、同月2日に代表取締役を退任し、一時音信不通とされていた前代表の横田氏。横田氏には、同社の運転資金横領や失踪疑惑が取り沙汰された。それらの疑惑や訴訟の経緯についてインタビューを行った。横田氏は、疑惑を完全否定し、今は亡き司氏の父である田原學氏への尊敬の念、そして同社の将来について語った。
横領など不正は一切なし
――横田さんが代表取締役を解任された経緯を改めてお聞かせください。
横田俊介氏(以下、横田) ご存知の通り、11月21日に認められた裁判所の仮処分決定により田原司氏は、クイーンズヒルの株主権保有が認められていたのです。12月2日に顧問弁護士宛てに「株主総会を開催し、横田氏は代表取締役を解任」と発せられたFAXが司氏側の弁護士名で送られてきたことを聞かされました。ほか2名の取締役も同様に解任となりました(登記上、横田氏ほか2名2日付で退任)。同月3日に突然、司氏がクイーンズヒルに乗り込んできて、「昨日付で、私が代表取締役に就任した」と全従業員に通告したそうです。要するに株主権を有する司氏側は、半ば強引に我々を排斥したのです。
――本来なら民事再生法を申し立てることでクイーンズヒルを再生する計画があったと聞きました。
横田 昨年5月に福岡地裁の判決で司氏側の株主権が認められ、我々は、即時控訴しました。12月20日の高裁の判決も司氏側の勝利である可能性が高いことは認識していました。さらに、上告し最高裁で決着をつけるまでに、民事再生法を申し立てる計画でした。
しかし、前述の仮処分申請によって司氏がクイーンズヒルの筆頭株主であることで、このシナリオは崩れました。具体的なスポンサー候補の企業も名乗りを上げてくださり、申請後の再生手続きの過程で、スポンサー企業を決めて再建する計画でした。約3年前の3月に司氏の父・學氏が逝去されました。學氏が逝去された以前の16年から“株主権”をめぐって係争してきました。そして、司氏が「このゴルフ場の経営権は我が方にある」と主張し続けてきたのです。
――そして、今般解任、追放されたうえに不正=運転資金横領の疑惑までもたれました。
横田 私は、たまたま12月3日は公休でした。顧問弁護士に相談したところ「しばらく司氏とは連絡を取らないように」と指示されました。司氏の意をくんでいると感じられた従業員への応答もしなかったので“音信普通”とされたのです。司氏から12月3日付で「翌日から出社不要で会社への立ち入りも禁止する」旨の解雇通知書が届き、それに従った流れです。私が会社の運転資金を横領したから行方をくらましたなどという風評が流れたようですが、天に誓い横領など不正な行為は一切していないことを、ここに明言いたします。
第一審と同二審中に、司氏から「(横田氏が)横領したのはわかっている。自分が株主であることを認めれば責任は追及しない。損害賠償もしない。働きたいのであれば給料は下げるが、ゴルフ場で働いてもよい」とする“和解”を提示してきました。その和解案を一蹴しました。
創業者・田原學への思いとは
――話は変わりますが、ともに事業を構築されてきたクイーンズヒル、そしてソロンの創業者である田原學氏についてのお話をお聞かせください。
横田 私は、1988(昭和63)年に大学を卒業して、ソロンに入社いたしました。學社長は、仕事に対しては本当に厳しい方で、私も毎日叱られながら鍛えていただきました。今あるのは、學社長のおかげであり私にとっての恩人です。豊かな人間力での経営を実践されてきました。たくさんの方々から愛された稀代の経営者です。
仲間と会員の行く末が心配
――今回、司氏がこのような行動に出たのはなぜでしょうか。
横田 司氏が10年10月にクイーンズヒルの取締役に就任したのは學氏に無断で行ったことです。それを知った學氏が私や學氏からクラブ運営に関する委任を行った顧問弁護士に指示を出したことにより11年7月に辞任を余儀なくされました。今回は、その復権を目指したのです。
――司氏はクイーンズヒルの代表として再建できるのでしょうか。
横田 私からは何ともいえませんが…会員さま向けに送ったレターには、自らの手でクイーンズヒルを再建することなど、新たな代表としての意気込みを表明しております。また、ゴルフ場経営のプロをそろえてマネジメントを実践することを述べているようですね。今回の新たな取締役は公認会計士ですが、どのように再建するのか疑問です。
――創業者の學氏から任されて、クイーンズヒル再建に尽力されていましたが、無念ではないですか。
横田 學氏に託されてゴルフ場運営に取り組んできたので、自分の立場に対しての未練はありません。ただ、従業員や会員さまのことを思えば今後の行く末が心配です。ともに働いた仲間の待遇やモチベーション。1,400名の会員さま。未来が見えるマネジメントであれば良いのですが…。
學社長は約10年前に病魔に襲われ闘病生活に入りました。それでも、學社長は病床から我々に叱咤激励され、当初私たちは経営判断を仰いできました。我々経営陣は、學社長の思いを継いでクイーンズヒルの再建のために汗水を流してきました。
そのようななかで、再建には民事再生法を申請し、適正なスポンサー企業に引き継いでいくことがベストであると考えました。借入金が大きく金利のみを払っている状況では、現在のプレー環境を維持するのが精一杯です。より高いレベルのクラブを目指すには、身軽になってスポンサーの力を借りて新たな資金を投入するしかありません。正しい判断だったと今も確信しております。
これからのクイーンズヒルとともに働いた仲間そして会員さまが、どうなるのかが気がかりです。司氏は、当面身売り・売却することを否定しておりますが、その点はまだ不透明だと思います。とにかく、ともに働いた仲間の労働環境と会員さまのプレー環境が守られることを祈るだけです。
【まとめ:河原 清明】
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