シリーズ・コロナ革命(17)~知ってはいけない!専門家会議の恐るべき正体「植草一秀の『知られざる真実』」
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政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、「何に関しての専門家」であるのかを知っておく必要がある。
コロナウイルスの感染が拡大している。この専門家会議が2月24日に、「これから1、2週間が(感染が)急速に進むか収束できるかの瀬戸際となる」とした。
3月9日で、専門家会議が示した「瀬戸際の1、2週間」が満了になった。「瀬戸際」を通過したのだから、どちらのコースに進んだのか、結論が示されなければおかしい。しかし、結論は示されていない。
3月9日の専門家会議で、「国内での爆発的な感染拡大は進んでおらず、何とか持ちこたえている状況」と報告されたと報じられている。
まったく腑に落ちない。安倍内閣はPCR検査を拡大していない。韓国では1日当たり1万件のペースでPCR検査を実施した。日本では1日当たり1,000件のペースだ。つまり、爆発的な感染拡大が生じているのかどうか、判定できないのだ。
「瀬戸際の1、2週間」という言葉だけが広まったが、そもそも、この言葉に科学的な裏付けがあるのか。安倍首相は「これからの1、2週間が瀬戸際」という言葉を2週間にわたって使い続け、2週間が経過しても、この言葉を使っていた。「専門家会議」は、「政府の特殊な事情を忖度する専門家」会議であり、「各種利権を守る専門家」会議ではないか。
安倍内閣は会議を前面に押し立てているが、実際には安倍内閣が、自分の都合に合うことを専門家会議の衣をかぶって言っているだけだ。だから、専門家会議の提示することが支離滅裂なのだ。
政府の諮問会議なるものはすべて同じ構図だ。メンバーには政府がコントロールできる人物しか配置しない。メンバーは政府の命令通りに発言することを求められる。その代わりに、メンバー個人、あるいはメンバーが所属する機関に見返りの財政支援などが行われる。「専門家会議」に与えられた役割=ミッションは次の3つ。
第一は、五輪開催を正当化する流れをつくり出すこと。第二は、PCR検査を徹底して抑制すること。第三は、メンバーが所属する機関が利益を得ること。この3つを軸に動いている。「国民の命と健康を守る専門家」会議ではない。安倍内閣の「専門家会議」だから、そもそも信用できる存在でない。
PCR検査拡大を訴えてきた上昌弘氏のテレビ出演が減少していることの意味を考えるべきだ。唯一、正論を堂々と述べていたのが上昌弘氏である。安倍内閣はテレビ各局に、上氏を出演させないように圧力をかけていると推察される。テレビから排除される者こそ、正論を提示する者である。
上氏が専門家会議の構造を掘り下げている。
帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)
帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(下)専門家会議副座長・尾身茂氏((独)地域医療機能推進機構理事長)がPCR検査を広範に実施しないことについて、次のような弁明を示している。
「国内で感染が進行している現在、感染症を予防する政策の観点からは、すべての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。また、すでに産官学が懸命に努力していますが、設備や人員の制約のため、すべての人にPCR検査をすることはできません。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化の恐れがある方の検査のために集中させる必要があると考えます。」
これはPCR検査を感染研などが独占するための口実にすぎない。メガファーマが提供する資材などを活用すれば韓国並みの検査能力を確保することは直ちに可能なのだ。専門家会議メンバーの利権確保と安倍内閣の感染者数偽装の要請がマッチして、支離滅裂な方針が提示されているのだ。
その結果、PCR検査が広範に実施されず、感染の実態を掴めないという最悪の状況が生じている。
上昌弘氏は、実体上の感染者数は日本が韓国を上回っていると見る。日本では接触者以外は重症患者にしかPCR検査を行っていない。感染者のうち、重症化する人の比率は2割と見られている。したがって、確認された感染者数の、少なくとも5倍の感染者が存在すると考えられる。なかには、死亡した後で感染が確認される事例すらある。これらの患者は医療機関を訪問してPCR検査を求めたにもかかわらず、検査を受けることが許可されず、重症化して死亡されたものだ。
検査を行わずに、感染者を隠して五輪を強行しようというのが安倍内閣の基本判断だと見られるが、これ以上の愚策はない。「策士策に溺れる」典型例でもある。
韓国は徹底的な検査を実施している。その結果、多数の感染者数が確認された。しかし、このことによって、的確な対応が施されることになる。感染者を特定できれば、感染者が感染を拡大する行動を抑止することができる。
ところが、安倍内閣はPCR検査を徹底的に抑制して、確認される感染者数の抑制に全力を挙げている。しかし、その結果として、感染者が放置され、感染を拡大させている可能性が高い。市中感染が広がれば、いずれかの時点で爆発的感染拡大が生じることになるだろう。感染者数が拡大すれば重症化する感染者数も増大する。もはや手遅れということになる。
上昌弘氏は政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の12人のメンバーから日本医師会、日本感染症学会、公益を代表する弁護士などを除いた9人のなかの8人が、
「国立感染症研究所」(感染研)
「東京大学医科学研究所」(医科研)
「国立国際医療研究センター」(医療センター)
「東京慈恵会医科大学」(慈恵医大)
の関係者であることを指摘する。上氏は、歴史的な経緯、帝国陸海軍との関係が背後にあると指摘する。詳しくは上氏の論考にあたっていただきたいが、感染研の前身が1947年に設立された「国立予防衛生研究所」(予研)で、その予研は戦後にGHQの指示で「伝染病研究所」(伝研)から分離・独立したもの。
伝研は現在の医科研。伝研は1892(明治25)年に北里柴三郎が立ち上げた民間の研究機関だが、その後の紆余曲折を経て陸軍との関係を深めた。戦後、分離された感染研幹部に、陸軍防疫部隊(関東軍防疫給水部=731部隊)の関係者が名を連ねた。
医療センターの前身は1868(明治元)年に設置された「兵隊假病院」。1936(昭和11)年に「東京第一陸軍病院」と改称された。帝国陸軍の中核病院である。敗戦後に厚生省に移管され、「国立東京第一病院」に名称が変わり、1993年に「国立国際医療センター」となり、2010年に独立法人化された。
慈恵医大の前身は「医術開業試験」の受験予備校(乙種医学校)だった「成医会講習所」。これが1903(明治36)年の専門学校令を受けて、日本初の私立医学専門学校として、「東京慈恵医院医学専門学校」となり、現在の慈恵医大になった。「成医会講習所」は薩摩出身の軍医で海軍軍医学校の創設者の1人である高木兼寛が中心となって設立したもの。高木は海軍軍医の最高位である海軍軍医総監を務めた人物。
上氏は、感染研・医系技官・医科研・慈恵医大のカルテットが医療データとワクチン利権を独占するために、PCR検査の開放を妨害しているのではと指摘する。「国民の命と健康を守る専門家」会議ではなく、「利権と政府の特殊な事情を守る専門家」会議になってしまっている。
「政府の特殊な事情」が「ただひたすら利権まみれの汚リンピック開催を強行すること」であることはいうまでもない。私たち市民は「専門家会議」というもっともらしい名称の会議の正体を正確に知ることが必要だ。利権まみれの政権は利権のことしか考えない。「今だけ、金だけ、自分だけ」が彼らに共通した素性である。
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