2024年11月20日( 水 )

新型肺炎の影響で、仮想通貨の値動きはどうなるのか(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 年初7500ドル前後となっていたビットコインの価格は、その後騰落を繰り返しながら少しずつ上昇し、2月9日にはついに1万ドルを上回るようになった。しかし、3月に入って新型コロナウイルスの感染拡大がイタリア、イラン、米国など世界中に広がり、その結果、経済の停滞が懸念され、世界的に株価暴落と原油価格の暴落が引き起こされている。

 その一方、安全資産としてのゴールドや「デジタルゴールド」とされるビットコインなどの仮想通貨は、価格が上がるのではないかという期待が一時高まった。ところが、結果は世界的な株安の状況のなか、仮想通貨の代表格であるビットコインの価格が30%近く下落している。

 13日、仮想通貨の市況情報サイトであるコインマーケットキャップによると、ビットコインは前日対比で34.64%暴落した5006.35ドルで取引されたという。これで、ビットコインは直近1週間で44.92%暴落したことになる。

 12日に世界保健機構(WHO)は新型肺炎についてパンデミックを宣言し、この発表を受けて、米国とヨーロッパなどの世界主要株式市場は株価暴落に見舞われた。NYダウ平均株価は2,350ポイント暴落し、1987年ブラックマンデー以降過去最大の下げ幅を記録することとなった。

 安全資産とされているゴールドも3%下落した。しかし、経済危機を打開するため、金利の引き下げなど金融政策が発動されればされるほど、インフレの懸念のないビットコインなどの仮想通貨に注目が高まることになるだろう。

 今でも仮想通貨に対する反応は大きく2つにわかれている。仮想通貨は値動きが激しくて、貨幣としては向いていないし、ハッキングなどのリスクも大きすぎて、手を出さない方が良いという声がある反面、仮想通貨はいろいろな課題を抱えているものの、技術の進歩で、徐々にそのような問題はクリアされるだろうし、貨幣ではなく、資産として認識すれば、今後活用される道はいろいろあるという肯定派がいる。

 国によっても、仮想通貨に対するスタンスがわかれている。中国、ロシアなどでは、仮想通貨の取引が禁じられている。米国、日本、ヨーロッパなどの先進国では、規制を強化しつつ、仮想通貨の可能性は認めている。

 仮想通貨の専門家であるマークヘルフマン(Mark Helfman)は自身のブログに"2020年はウォール街が仮想通貨に本格的に参入し、既存の仮想通貨業界に一大変革が起こる年になるだろう“と書いている。

 仮想通貨に対する金融機関の態度は米国だけでなく、ヨーロッパでも、以前と比べて大きく変わっている。ドイツバンクが発表したレポートによると、2020年は仮想通貨が社会に根を下ろし、現金の代わりに使われるようになるだろうと予測している。これに先駆けて、2019年11月、ドイツ議会は市中銀行が仮想通貨の販売および受託サービスができるようにする法案を可決させている。

 金融機関だけでなく、金融専門家の態度にも、変化が現れている。仮想通貨を投資ポートフォリオに組み入れたいという投資専門家の数が二倍以上に増えたという分析もある。世界的な金融機関が仮想通貨を本格的に扱うようになると、市場は数十倍に拡大し、仮想通貨は資産としてだけではなく、支払の手段としても普及していくことになるだろう。

(つづく)

(後)

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