新型肺炎の影響で、仮想通貨の値動きはどうなるのか(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
一方、韓国政府は仮想通貨に対し、これまでかなり否定的な態度で臨んでいた。2017年9月には韓国でICOをすることも禁止された。それは、仮想通貨の発行と販売をめぐって、詐欺事件など、トラブルが多かったことが原因である。
しかし、仮想通貨は規制しても、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーン技術は、それとは別に、産業として育成していくという姿勢だった。ブロックチェーン技術を育成するためにはブロックチェーンのインセンティブである仮想通貨が必要であるという意見も一部ではあった。
韓国政府の無知な政策の結果、韓国企業は資金調達をするため、海外でICOをするしかなく、産業が育つ芽を摘んでしまったという批判も結構あった。そこで、ようやく韓国政府も重い腰をあげ、今月5日に仮想通貨を規制する法案ではあるが、初めて仮想通貨を明示した法案を国会で通貨させた。いわゆる特定金融情報法(以下、特金法という)の改正案である。
特金法の主要内容としては、今まで銀行などの既存の金融機関にだけ義務付けられていたマネーロンダリング防止(AML)、 テロ資金供与対策(CFT)などの義務を仮想通貨の取引所に課すことである。
特金法によって、仮想通貨取引所の事業会社は入出金の際に本人確認をすることと、情報保護管理体制(ISMS認証)を整えた上、金融分析情報院に届け出をして初めて、事業が開始できるようになった。とくに、入出金の際の本人確認の正確性を期すため、取引所と会員(投資家)が同じ銀行を使うことが義務付けられた。このような契約がすでにできているのは、韓国の4大取引所(アップビット、ビットサム、コインワン、コビット)だけである。
ISMS認証というのは、顧客の個人情報などを安全に取り扱っているかどうかを韓国インターネット振興院が認証する制度である。この認証を取得するためには、数億ウォンの費用と6カ月以上の時間が必要になるという。このようなハードルを設けることによって、投資家の被害を少しでも防ぎたいという政府の意図が垣間見える。
これまではウェブ上にホームページを開設するように、誰でも取引所を開設することができたが、取引所開設に関する条件が法律で明示されることによって、仮想通貨取引所に対するルールづくりがやっとできたわけだ。
今回の法案が通過することによって、既存の仮想通貨取引所は、遅くとも2021年9月までには上記2つの条件が揃わない限り、仮想通貨の取引所の運営ができなくなる。
それでもまだ課題は残っている。株式投資の場合には、株式取引所や証券会社のシステムが万が一トラブルを起こしても、それで株式を失うことはない。ところが、仮想通貨の場合、仮想通貨を本人が保存することができず、取引所で保存することになる。その取引所がハッキングの被害に遭うと、投資家はなすすべがなく被害を被ってしまう。それで、取引所のセキュリティを金融機関並みにもっと強化しないといけない。今年、ウォール街の大手金融機関が参入するとなると、そのような課題も解決されていくことだろう。
(了)
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