NIDを通じたドラモリの活動 ドラッグストアとVCの将来(3)
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日本ドラッグチェーン会(NID)は、1970年に産声をあげ、昨年6月には創設50周年を迎えた。同会の加盟社数は77社、約5,300店舗、総年商1兆4,150億円(ドラッグ部門)の巨大ボランタリーチェーン(VC)に成長した。50周年を前に一昨年9月、事業会社(株)ニッドの代表に、ドラッグストアモリの会長である森信氏が就任。ニッドは、加盟店舗向けにPB商品の開発と供給を行っている。NIDの関伸治会長と商品開発を担うニッドの森信社長の両輪でVCを牽引。業界再編が急速に進む今、求められるVCの役割とDgSの将来像を考える。
くすりのベルを買収し東北に初進出
持株会社の(株)ナチュラルホールディングスは、九州を中心に店舗展開するドラッグストアモリ(281店舗、売上高1,441億円、2019年3月期)のほか、中国地区を拠点に四国・関西にも進出、出店エリアを拡大する(株)ザグザグ(159店舗、売上高735億円、19年8月期)を傘下にもつ。
昨年10月には、NIDに加盟する宮城県の(株)くすりのベル(県内に6店舗、19年10月現在)を買収、東北にも進出した。ナチュラルHDの総売上高は、2,188億円(直近決算期)、総店舗数448店舗(19年10月時点)になっている。
ナチュラルHDが岡山県内でDgS最大手のザグザグを傘下に収めたのは、17年。ナチュラルHDが「ザグザグ」の発行済み株式の61%を取得した。
ザグザグは、セガミメディックス出身で、創業者の藤井孝洋社長(故人)が90年に創業。独自のポイントサービスや豊富な品ぞろえを強みとし、現在は岡山を中心に、広島・香川・愛媛・兵庫・島根などに展開。ドラッグストアモリとは、出店エリアが重複せず、かつ、森社長(当時)と藤井社長は、同じNIDの加盟社で親交があり、経営に対する考え方も近いことから、藤井社長はナチュラルに株式譲渡を決断した。
ザグザグは、12年に流通大手のイオンと資本業務提携し、イオン(株)はザグザグの株式の15%を保有している。流通事情に詳しい関係者によると、「ナチュラルの森さんも、今後も資本業務提携の関係は続けるのではないか」と話す。
藤井社長は、業界では変り者と言われていた。しかし、藤井社長をよく知る森信社長は、筆者に次のように語ったことを今でも覚えている。
「藤井社長は表面的には、社員に対しても、自由に仕事をやらせ、一見、放任主義のように見えたが、実態は違う。経営に関してよく考え、効率経営を考えていた。カリスマ性のある経営者の1人だったと思う。社員もすべて大卒を採用、見た目とは大きく違った。ナチュラルがザグザグをM&Aしたといわれているが、現実は違う。藤井社長のほうから私に引き受けてくれないかという相談があり、話し合いを重ね、合意のうえで引き受けた」。
ナチュラルの森社長は、DgS業界活性化や業容拡大にも積極的だ。都内で月に1度、開催の通称「ストコン会」というのがある。
同会には当初、NIDの加盟社を中心に、サッポロドラッグストアー、ザグザグ、セキ薬品、ゴダイ、飯塚薬品(スギ薬局に吸収合併)などが参加していた。M&Aなどで参加企業の顔触れは大分変わり、現在では、AJDのメンバーも参加している。同会は、メーカーが開発した商品を参加企業の前でプレゼンし、興味をもった企業の店舗で、推奨販売するというものだ。
(つづく)
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