【コロナに負けない(11)】葬儀社は勝ち組ではない
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福岡トップクラスの葬儀社を直撃取材した。「新型コロナウイルス蔓延は、葬儀業界にとって特需でしょう?」と皮肉っぽく質問を投げかけた。
ところが意外な回答であった。
「いやあ、3月は減りました。福岡市のお亡くなりになった方々の数は減少しているはずです。理由としてはコロナへの恐怖感で全員が手をきれいにするようになり、衛生面で過敏になったことでお客さんが減ったのです」。こちらも一段と意地悪になって「この冬は暖冬で、3月は暖かかったのが原因でしょう」と絡んでみた。「確かにご指摘の暖冬という原因もありますが、葬儀の環境は厳しさが募っています。まずはコロナ騒動で世の中は不安に煽られていますから、葬儀代の単価が急落しています」と丁寧な説明が始まった。
150万円も70万円も葬儀の手間暇は同じという。「葬儀場でコロナ伝染」となれば会社は一発で終わり。葬儀のやり方も根本から変えた。たとえば通夜の場合には、まず17時にお坊さんにお経を唱えてもらう。参拝者たちは18時に集合してもらい、焼香をお願いするようにした。
参列者を一堂に会する場と時間をなくしたそうだ。従業員たちにもコロナ感染封鎖に気を遣っている。マスクは2枚使用を推奨している。配慮ばかりが強要されて実入りは乏しくなるという、厳しい実情がある葬儀業界なのである。
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