ふくおかフィナンシャルグループの実力(2)~地銀統合大激変時代
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強者連合
だが、現在の大激変の金融機関の合併ドラマは別次元の話である。肥後銀行・鹿児島銀行の二行が持ち株会社九州フィナンシャルグループにぶら下がる統合の形式は強者対合併策である。【地方銀行経営の10年先を見据えて】の選択である。勿論、金融庁の行政指導に沿った一面もあろう。熊本県、鹿児島県の人口の激減は各県の経済力を衰退させる。と同時に銀行経営の基盤を揺らぐ懸念が高まってくる。どの地方銀行の経営者も考えることである。
肥後銀行、鹿児島銀行両頭取は慶応大学OBであるから気心知れている仲であろう。「おい、先手を打って持株会社を創ろうや。いまなら【九州】という商号も利用できるぞ。実際、九州一の銀行にしよう。何事も先駆的にやらないと効果が上がらないからな」と、どちらとなく声をかけて具体化=九州フィナンシャルグループ発足がトントン拍子で進んだ。この水面下の二行合併進行をFFG谷会長が知る由もないのは当然である。しかし、【九州】の商号を取られたのは後々、後悔することにもなりかねない。現在のFFGと九州フィナンシャルグループの実力の差をみてみると預金量では12兆9,472億円、後者7兆8,788億円と5兆円の開きがある。常識的には「勝負にはならないな」と誰もが判断する。だが、連合・合併の激突はいまようやく幕が開いただけだ。(表参照)
話は若干、余談になる。西日本シティ銀行の存在である。子会社長崎銀行を含めた預金量は7兆8.562億円になる。九州フィナンシャルグループに少数であるが、負けているのである。九州第3位に転落したことは内心では悔しい思いであろう。10年前、西日本銀行・福岡シティ銀行が合併した際には一時的であれ預金量トップの名誉を浴した実績もあるのだから(【西日本シティ銀行の拡大路線の道は第二地銀を網羅していくしかない】と喝破する関係者もいる。また別シリーズで論ずることもあろう)。
大分銀行の動向
九州フィナンシャルグループの発足に一番驚愕したのは大分銀行であろう。同じ格の第一地銀として懇意な関係を築いていた故にだ。大分銀行頭取も慶応大学OBである。KFGの経営陣も現状に満足して立ち往生する腹は無いであろう。【先駆、先取性】を叫んでKFGの旗揚げを図ったのである。一部では「大分銀行とのグループ化の話し合いがなされている」ということが囁かれている。
3行ぶら下がりが実現したらどうなるのか?15年6月期での大分銀行の預金量は2兆8,032億円ある。3行合計すると10兆6,820億円になる。こうなるとFFG側も蔑にできない勢力として登場することになるのだ。FFG谷会長も無策でいるわけがない。新たな手立ての秘策を練っているはずだ。金融再編はますます興味深くなってきた。
(つづく)
▼関連リンク
・九州FG誕生~金融再編の行方を占う(1)
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