「スピードも金額も足りない」~雇用調整助成金
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コロナショックの渦中にある中小企業を救うはずの雇用調整助成金が、その使い勝手の悪さからボトルネックになっていた。4月24日の段階で申請件数は2,500件余りで、支給件数はわずか282件しかない。こうした事態を受けて厚労省はようやく重い腰を上げた。5月中旬をめどにオンライン申請の実施を目指すことや、社労士の連帯責任解除を決めた。
申請書類に偽りや不正行為があった場合、申請を代行した社労士には罰則規定があった。ただ中小企業では賃金台帳などの書類をつくっていない場合も多く、不明瞭な状態での申請を社労士が嫌がり断るケースが多発していた。受ける場合でも事業主が勤務実態を詳細に把握しておらず、それを聞き取りしながらの書類作成にも手間がかかっていた。
こうした問題がオンライン申請と連帯責任解除で解消されるのだろうか。
ある社労士は一定の改善効果は認めつつも「まだスピード感と金額が足りない」と話す。「日本の場合、給与として支払ったものに対して助成するという考え方なので、やり方は正しいが、そもそもスピード感は出ない」。他国に見られるような、とりあえずお金を出して問題は後から調整する、という考え方ではないのだ。金額に対しても「上限8,330円では、給料が高い会社ほど負担が大きくなるし、地域によって最低賃金も異なるため、都市部の会社ほど厳しい。企業の負担を減らすためにも上限を引き上げるべきだ」という。現在の中小企業救済の基本的なスキームは、200万円の給付金と無利子無担保融資で急場をしのぎ、その間に支払った雇用維持のための費用を助成する、というものだ。だがスキームの実行スピードと金額を上げなければ、今でも固定費の支払いで資金繰りに窮している中小企業は、経営破綻が相次ぐ事態に陥ってしまうだろう。
【緒方 克美】
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