2024年11月25日( 月 )

ライオンズマンション春日公園~設計偽装に関する大京の回答(後)

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4.「非埋込み形柱脚 係数偽装」・「耐震壁方向に有効な鉄骨部材が配置なし 係数偽装」「非埋込み形柱脚鉄量不足」の3つの偽装が行われたマンション

 このマンションの保有水平耐力計算においては、SRC造とRC造の2通りのDsにより計算を行っているものの、構造計算概要書に記載された保有水平耐力計算結果の欄には SRC造の計算結果のみが記載され、これをもってこのマンションの保有水平耐力とされています。適法に構造計算を行えば張間方向についてはRC造のDsを採用すべきところを、SRC造の低減されたDsを採用したことは構造計算の偽装です。

 前ページの「Qu/Qun」が1.0を下回っている8階(0.99)から3階(0.92)は構造耐力不足となっています。地震が発生した場合、構造耐力が低い階が最初に崩壊します。
 1つの階の崩壊は、建物全体の耐震強度が不足という事態になります。

 保有水平耐力計算の問題だけではなく、柱脚部分の強度(鉄量)の問題があります。規定では 「1階柱脚(柱の下部分)の鉄量(アンカーボルトと鉄筋の断面積)は、1階柱頭(柱の下部分)の鉄量(鉄骨と鉄筋の断面積)と同等以上」と定められていますが、このマンションの1階柱脚の鉄量は柱頭の鉄量よりも53%も不足していることも判明しています。

※鉄量
 鉄骨鉄筋コンクリート造の躯体内部の鉄骨・鉄筋・アンカーボルトなどの
断面積の和。
 とくに、鉄骨柱脚がピンの場合は、柱脚部分に鉄骨が存在しないので、建築規定では、柱脚部分での急激な耐力不足が生じないよう、柱脚にも柱頭と同量以上の鉄量(鉄筋・アンカーボルト)となるよう定めている。
 躯体のなかで大きな断面積の割合を占める鉄骨の断面積を鉄筋の断面積で補完しなければならないので、相当な量の鉄筋が必要となる。

 建築物の構造耐力および保有水平耐力計算については、建築基準法および建築基準法施行令(以下「施行令」)、建設省告示などに定められていますが、ライオンズマンション春日公園は、これらの法令に定められた構造計算方法から逸脱した構造計算が行われており、建築基準法令で定められている構造耐力に関する基準に適合していません。

 結果として、建築基準法第20条1項2施行令第36条2項1施行令第79条の4、施行令第81条2項1号イ、施行令同第82条の3、昭和55年建設省告示第1792号(平成19年5月18日国土交通省告示第595号により改正)に違反しています。

(了)

【桑野 健介】

(中)

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