2024年11月14日( 木 )

【都知事選2020】都知事会見指名回数第1位のフジテレビ・小川美那記者を直撃取材〈動画〉

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横田の直撃にフジテレビ・小川氏はスマホを向けて撮影

 6月18日告示の「東京都知事選」(7月5日投開票)で再選を目指す小池百合子知事が学歴詐称疑惑を抱えて出馬表明をした12日、都知事指名回数第1位(“小池知事お気に入り記者”ナンバー1)のフジテレビ・小川美那記者を直撃、カイロ大卒や卒業証書の真偽を検証する番組制作について問い質した。

「フジテレビで検証番組をつくる予定はないのか。卒業証書が偽造と疑われている。(フジの小川記者は)“お気に入り記者”で一番指名回数が多いし(註1)、いま問題になっている(番組で小池氏の)卒業証書を出したのはフジテレビ。癒着の関係ではないか」
「“御用メディア”と言われないために疑問を晴らすような(検証)番組をつくらないと、報道機関といえないのではないか」

 すると、小川氏は過去の私の取材(写真撮影)に抗議した後、いきなりスマホをこちらに向けて「どうぞ私に言ってください」と撮影を開始。そこで私も対抗してデジカメを取り出して動画撮影をしながらの質問に切り替えると、小川氏はなぜか「止めてください」と言い始めた(動画参照)。

 ――なぜ検証番組をつくらないのか。「(小池知事)お気に入り記者ナンバー1」の小川さん。

 小川記者 止めてもらえますか。

 ――(小池氏の)卒業証書(マークが違うなど)おかしいのではないか。

 小川記者 撮らないでください。

 ――(スマホで)撮り始めたのは小川さんでしょう。

 小川氏 止めてください。

 ――検証番組、なぜつくらないのか。(小池氏と)フジの癒着ではないか。

 ここで別の男性記者が間に入って小川氏との押し問答は終了。結局、フジテレビが検証番組を制作するのか否かは確認できなかった。

フジテレビ「とくダネ!」は放送法違反濃厚

 直撃した小川氏は、カイロ大学の卒業証書をフジテレビの「とくダネ!」(2016年6月30日放送)で公表した段取りをしたと囁かれていたことに加え、小池氏の卒業証書に偽造疑惑が浮上していた。

 フジテレビについては、いま話題のベストセラー『女帝 小池百合子』(文藝春秋)の著者・石井妙子氏も同著のなかで次のように書いている。

 「産経新聞は小池の就任後、一貫して好意的な報道が目立つ。その傾向は同系列のフジテレビにも強く見られる。もともと都庁との関係が深いと言われ、『お台場周辺の土地を押さえているフジテレビは都によるお台場でのIR(統合型リゾート)事業の推進を期待しているため小池に配慮しているのではないか』とも噂されている」(同著p352)。

 偽造の疑いがある卒業証書を厳しい検証抜きに本物として示した「とくダネ!」は、放送法の「報道は事実をまげないですること」に違反している疑いがある。しかも「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」という放送法の多角的論点提示にも明らかに違反している。カイロ大卒や卒業証書の真偽で意見の対立があるのに、石井氏ら学歴詐称派の意見を紹介せず、卒業証書の画像を十分な検証抜きで流して事足りていたからだ。

 放送法違反濃厚の4年前の番組内容を検証し、かつて紹介した卒業証書や卒業証明書の真偽について多角的に紹介することが報道機関の責務のはずだ。小池氏が午後6時から出馬会見をした12日は、午後2時から定例会見も開かれ、小川氏が両方の会見で指されたのに対し、私は指名されない“記者排除”30回の新記録を更新。会見終了後の声掛け質問で対抗した。

12日の出馬会見後の声掛け

 ――知事、『女帝』について一言、お願いします。(公職選挙法235条2項虚偽事項公表罪で)石井妙子さん、なぜ訴えないのか。文春には卒業証書を出していないでしょう。(フジテレビと週刊ポストの)“御用メデイア”に出してどうするのか。

 小池知事 (無言のまま立ち去る)

12日の定例会見後の声掛け

 ――知事、卒業証書は偽造ですか。それで、フジ(テレビ)だけにしか出さないのか。犯罪容疑者が知事選に出ていいのか。偽造私文書行使罪(註2)ではないか。

 小池知事 (無言のまま立ち去る)

卒業証書の真贋論争はこれからが本番

 フジテレビなどの御用メディアだけに偽造の疑いがある卒業証書や卒業証明書を提供、厳しい検証抜きで画像をタレ流してもらう一方、「カイロ大は嘘」と見る週刊文春などほかの報道機関には現物は提供しない。小池氏の差別的メディア対応(世論操作術)が浮き彫りになる。

 都知事会見指名回数第1位の恩恵を受けるフジテレビは、その見返りに小池氏の不都合な真実を隠蔽する役割を果たしていると見られても仕方がない。「御用メディア」「癒着」と批判されないためには、カイロ大卒の真偽を検証する番組制作が不可欠だ。

 都知事選の告示3日前の6月15日になって小池氏は、ようやく卒業証書と卒業証明書を公開、カラーコピーも配布したが、ここまで頑なに広く公開するのを拒んできたのはなぜなのか。偽造とばれるのを恐れていたためなのか。真贋論争が本格化するのはこれからなのだ。

【ジャーナリスト/横田 一】


註1
都知事会見指名回数順位=“小池知事お気に入り記者”ランキング
(昨年12月末から6月12日までの30回の都知事会見の集計)
1位 フジテレビ小川記者 15回
2位 日本テレビ中丸記者 12回
3位 朝日新聞 軽部記者 11回
3位 MXテレビ相模記者 11回
4位 読売新聞 野崎記者 10回
4位 NHK  成澤記者 10回
(番外:フリー横田一30回中0回)

註2
 「偽造私文書行使罪」と聞いたのは、元検事の郷原信郎弁護士が6月6日のブログ「小池百合子氏『卒業証明書』提示、偽造私文書行使罪の可能性」で、フジテレビで提示の卒業証書が偽造の場合、偽造私文書行使罪にあたる可能性があると指摘していたため。本サイト6月12日公開の「【女帝の履歴書】学歴詐称疑惑がカイロ大も巻き込んだ新展開 都議は卒業証書公開を要求」でも偽造私文書行使罪を紹介している。

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