『脊振の自然に魅せられて』道標メンテナンス
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2008年10月から11月の2カ月間、西南学院大学ワンダーフォーゲル部 (以下ワンゲル)OBOG、福岡市早良区役所と一緒に脊振山系で道標設置事業を行った。
私が大学の部活動で入部していたワンゲルの活動拠点が脊振山系であり、50代のころに脊振山系に通い詰めて撮影した写真を写真集『脊振讃歌』として出版した。出版を機に、脊振山系へのお礼として、道標設置を思いついたのである。
私が大学3年生のとき、大学は50周年を迎えていた。それを記念して、脊振山系で道標設置合宿を行い、道標60本の設置を行った。当時はまだ一等三角点に櫓を組んで立てていた時である。それから50年が経ち、脊振山系に立てた道標はすっかり朽ちはて跡形もなくなっていた。
2008年5月、荒瀬泰子早良区長(現・福岡市副市長)に「脊振に道標を立てませんか」と相談した。荒瀬区長からは即決で「やりましょう」と快諾いただいた。
早良区役所も「脊振へのいざない」の登山マップを作成し無料で市民に配布していた。脊振に道標を立てたい思いがあったのだろう。
6月にワンゲルの学生たちと現地視察、続いて私が歩いて道標設置ポイントを決めて行った。
設置場所の道標のラフ図面を描き、区役所の担当職員Nがパソコンで製図をして行った。
9月23日から4日間、糸島市(当時は前原市)の木工作業施設トンカチ館で道標パーツ制作を行った。
ワンゲルの同期も東京、北九州から参加し、福岡在住の後輩たちも手伝ってくれた。区役所職員、さわら魅力推進委員のメンバー、伊都遊歩道クラブも応援にきてくれた。
残暑のなか、膨大な数の手づくり道標パーツは予定通り4日間で見事に出来上がった。10月10日から11月末の間、毎週土曜日にワンゲルの学生と OBOGが主体となり設置作業を行った。福岡市民、高校の山岳部の設置応援もありに道標と登山地図42本の設置が11月末に完了した。
その後、追加で道標の設置を4年間続けた。
設置開始から5年間で、脊振山から三瀬峠までに70本の設置が完了した。
同時期に糸島市の伊都歩道クラブも糸島市エリアに道標200本の設置を完了させている。
実に、2013年3月までに、脊振山―十坊山間の約60㎞に道標270本が設置できたのである。2013年4月29日(祝)に設置完成を記念して、福岡市エリア、糸島市エリアの山開き同時開催を行い、以後5年、毎年1回行なった。
6回目からは福岡市エリアのみで行っている。ことし道標設置事業開始から12年が経った。
一部の道標の支柱が設置場所によって湿気で朽ちていた。早いうちに支柱の交換が余儀なくされていた。
早良区役所に支柱の交換を相談した。区役所は令和元年の年度末予算で要望通り防腐剤処理した支柱10本を用意してくれた。6月になり梅雨の時期であるが、ワンゲル OB仲間に天候をみて道標支柱の交換を行おうと呼びかけた。「脊振の自然を愛する会」の主力メンバーでもある。
早良区役所職員も参加し、6月10日(水)に花乱の滝登山口、6月16日(火)に椎原峠登山口、小爪峠登山口と3カ所、道標も入れて9本の入れ替え作業を行った。
スコップで12年前に立てた支柱を掘り返し、新しい支柱の根元に再度防腐剤処理をし、登山地図と道標にはペンキで文字や地図の化粧直しをした。
登山地図の裏面には「西南学院大学ワンダーフォーゲル部 創部50周年記念」と銘銘打っていた文字がクッキリと残っていた。私が記念に彫ったものである。支柱の根元には大小の石を敷き詰めて立て直した。
設置に際し自然に負担をかけないよう、コンクリートは一切使っていない。
10年振りであるが、手慣れた作業で短時間のうちに終了した。今年は新型コロナの影響で密接を避けなければならないが、福岡市スポーツ振興課も登山道に道標に「密接を避けて行動してください」の表示が取り付けている。
登山の新しい方法の工夫が求められる時代になってきた。
そして安全第一の登山であってほしいし、この道標が多いに役立つことを願っている。いま、安全登山の啓蒙も兼ね、福岡市消防局、早良区役所、ドコモ九州と連携してレスキューポイント表示板の制作準備をいている。
秋口までに完成させたい。2020年6月18日
脊振の自然を愛する会
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