前駐ベトナム大使・梅田邦夫氏特別講演レポート「日本にとってのベトナムの重要性」(8)
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NetIB-Newsは、DEVNET INTERNATIONALから提供いただいたが前駐ベトナム日本国大使・梅田邦夫氏の講演レポート((公社)ベトナム協会)をお送りする。今回は「日本に滞在するベトナム人の状況」などについて。
3.日本の少子高齢化・労働力不足への最大の貢献国:ベトナム
日本にとってベトナムの重要性が高まったもう1つの理由は、日本の深刻な労働力不足問題にとって、ベトナムが最大の貢献国になったことです。
現在(昨年12月末時点)の在留外国人総数は293万人で、前年比7.4%増となり、過去最高となりました。在留ベトナム人は、約41万人(前年比24.5%増)で、中国人(81万人)、韓国人(45万人)についで3位です。
在留資格別の滞在状況
(1)技能実習生
在留資格別に見てみると、ベトナム人41万人のうち内、技能実習生は、この9年間で28倍に急増し、約22万人です。国別では断トツの1位で、2位の中国人の2.7倍となっています。(2)留学生
約8万人(前年比2%減)、中国についで2位です。2019年に初めて前年比微減となりましたが、この9年間で15倍に増えています。正確な割合は不明ですが、この数年間に増加した語学留学生のなかには、就労が主目的の人が多いと思われます。(3)技術・人文知識・国際業務ビザ
このビザ取得者は約5万人(前年比49%増)と急速に増加しています。このカテゴリーのビザは、大学卒業ないしこれと同等以上の教育を受けた者、10年以上の実務経験を有している者などです。技能実習生と異なり、「送出機関」を経由することなく採用できることが魅力になっていると思われます。(4)特定技能ビザ
2019年4月に発足した特定技能について、同年7月、日本とベトナムは、協力覚書を公表しましたが、これに基づく運用はベトナム政府内の制度整備が終わっておらず、開始さていません。
20年3月末現在、特定技能の資格を得た人は、3,987名であり、そのうち、ベトナム人は2,316名ともっとも多くなっています。全員が技能実習修了者で、新たに特定技能の資格を得たケースです。また、厚労省の外国人雇用状況調査によると、昨年10月時点で、外国人労働者総数は、166万人です。うちベトナム人労働者数(40万人)と中国人(42万人)労働者で半数を占めます。ベトナム人労働者の急増は、14、15年から始まっており、過去6年間で10倍以上の増加です。
ベトナム人の国別派遣先
19年、ベトナムから外国に派遣された新規労働者は、約15万人です。内訳は、1位日本(約8万人)、2位台湾(約5万人)、3位韓国(約7,000人)です。2年連続で日本が1位です。
日本のなかには、韓国の外国人労働者の受け入れ方が優れており、ベトナム人は、日本より韓国にたくさん行っているとの誤解も一部にありますが、事実は上記の通りです。ベトナムの人口動態
19年のべトナムの人口は9,620万人で、平均年齢は31歳(日本48.9歳)です。今後10年ぐらいの間、毎年90~100万人の人口増が期待されます。
ただし、合計特殊出生率は下落傾向にあり、19年は1.95です。ベトナムは、1988年から2人っ子政策をとってきましが、予想を上回るスピードで高齢化を迎える可能性が高まり、2017年に廃止しました。ベトナムの人口動態と経済発展状況を勘案すると、近い将来、ベトナム人が日本に就労目的で来なくなることを考えておく必要があると思われます。
(つづく)
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