2024年11月22日( 金 )

【コロナに負けない(55)】ドライバーに「元気」を届ける福岡県トラック協会

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福岡県トラック協会副会長 中嶋 利文 氏

 「トラック運送業がなくてはならない業種であることを、世の中の皆さんにわかっていただきたい」と力を込めて話すのは、自身も運送業を営む福岡県トラック協会副会長・中嶋利文氏だ。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、医療業界やスーパーマーケット業界などと同様に、全国のトラックドライバーへの中傷や差別は苛烈をきわめた。県外ナンバー車へのあおり運転や投石、荷物受取時の消毒液の噴射、なかには運転手の子どもに自宅待機を要請した小学校もあった。

 心ある人たちからのトラック運送業への感謝や励ましの声もあった。だが、医療業界への官民の支援や声援ほどには、大きな話題にならなかった。

 こうしたなかで福岡県トラック協会では、YouTube動画を作成し、有名人がTwitterで発信することで、一般消費者に向けてトラック運送事業に対する理解を広げている。さらに、トラックドライバーにエールを届けることを目的とした活動「TRUCK PRIDE(トラックプライド)」を行っている。

 約4分間のYouTube動画では、緊急事態宣言中も業務と向き合ってきたドライバーの日々が映され、地元出身ミュージシャン「Natural Radio Station(N.R.S.)」が歌詞でドライバーの使命感を代弁している。

 この企画に賛同する「N.R.S」をはじめ、地元タレントなど発信力のある人々がTwitterで応援メッセージをツイートし、早くも一般の消費者から感謝のツイートがなされている。

 全国でおよそ150万人、福岡ではおよそ6万人のトラックドライバーが新型コロナウイルス感染の恐怖と戦いながら、業務を遂行している。「目の前に荷物があれば本能的に運びたくなるのが、トラックドライバー運送業者だ。医療崩壊が起こらず、スーパーに当たり前に商品が並んでいることも、裏側にはこうした人々の活動がある」と中嶋氏は話し、現場を慮る。熊本地震や北部九州豪雨で物資を迅速に届けたのも、トラックドライバーだった。

 コロナ禍は、経営面からもトラック運送業者を圧迫している。「受注が増加した業者も一部にはいるが、ほんの僅かだ。全体としては、コロナ感染拡大前より荷物量が約2割減っている」(中嶋氏)のが実状だ。

協会が配布した検温器

 中小企業の多い運送業界にあっては、「社員から1人でも陽性者が出ると、営業自粛や風評被害などで経営の屋台骨が揺らぐ企業は少なくない。各事業者は、緊張感をもって消毒やマスク着用などを徹底してきた。県下業者からは1人も患者を出しておらず、物流インフラとしての責任を全うしてきた」(中嶋氏)。同協会は、電子温度計2,400台を確保して県内全事業者に配布するなどトラック運送業を後方支援してきた。

 第2波の到来時期やその規模は、まだ不透明だ。粛々と業務を進めるドライバーに対して、中嶋氏は「ガス、電気、水道と同様に、物流も大事です。何はともあれ、ドライバーへのご理解だけでもいただきたい」と力を込めて語る。


<INFORMATION>
(公社)福岡県トラック協会

所在地:福岡市博多区博多駅東1-18-8
T E L:092-451-7878(代表)
F A X:092-472-6439
U R L:https://www.hearty.or.jp
Twitter:#トラックプライド
YouTube:https://youtu.be/JvuUGGXd_pA

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