2024年11月23日( 土 )

お仏壇のはせがわ、再生なるか(1)

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 「おててのしわとしわをあわせて、しあわせ」のキャッチフレーズで、仏壇・仏具販売のリーディングカンパニーとして知られる(株)はせがわ。ライフスタイルの変化による需要の減少で市場自体が縮小するなか、同社もその影響を受け、創業からの長谷川一族体制からの脱却を図るも、厳しい業況が続いている。

 (株)はせがわは、1929年9月に長谷川才蔵氏が福岡県直方市で仏壇・仏具の販売で創業。47年に法人化し、54年から仏壇の自社製造を開始。66年に製造部門を(株)長谷川仏壇製造所、販売部門を(株)長谷川仏壇店としてそれぞれ法人化。西日本エリアを中心に店舗展開を広げ、76年に販売会社の長谷川仏壇店の社名を現社名に変更し、本社機能を現在の博多区上川端に移転した。79年に埼玉県川口市に支店を開き東日本エリアに進出、全国展開への基盤をつくった。

 才蔵氏は「仏壇屋は人々から手を合わせていただく仕事。お仏壇開きではお寺様と一緒に上座に座り、帰りには尾頭付きの鯛をいただく。これほどありがたい商売はない」と話し、これまでの仏壇・仏具製造販売業のイメージアップや地位向上にも貢献した。

 82年に才蔵氏の長男の裕一氏が代表となり、さらに事業は拡大。「しあわせ少女」と呼ばれるキャラクターが「おててのしわとしわをあわせて、しあわせ。なぁーむぅー」と唱えるCMで認知度も拡大し、88年に仏壇業界では初となる福岡証券取引所での株式上場をはたし、続けて94年に大阪証券取引所第2部上場、2012年に東証第2部上場成長を遂げ、翌13年には業界初となる東証第1部に上場。名実ともに業界最大手企業となった。

 上場以降、同社は事業の多角化を推進。主に海外事業に注力し、中国、ベトナム、ミャンマーへ不動産、アミューズメント、食品製造販売など、数々の事業に投資したが、いずれも軌道に乗らず、同社の財務基盤をも揺るがし始めた。裕一氏から代表を引き継いだ実弟の房生氏が09年までにすべての海外事業から撤退。14年4月以降、代表を務めてきた長谷川一族は経営の一線から退き、現在は同社生え抜きの江崎徹氏が代表に就いている。

 ここ数年の業績を見ると、東証一部上場以降は250億円前後の売上高だったが、ここ5年間の売上高は190億円台を推移しており、直近の20年3月期業績(連結)は売上高179億1,700万円、営業損失9億5,700万円、経常損失9億5,100万円、11億1,400万円の最終赤字となった。宗教や供養に対する意識や価値観も変わり、仏壇、仏具、墓石の需要が年々縮小。小型化・簡素化・低価格傾向が進んでいることを理由としている。実店舗で販売が主体の同社は新型コロナによる影響が大きい。

 同社は業績回復に向け、ネット通販へ積極的な展開を推進するとして、アスクル(株)が運営するショッピングサイト「LOHACO(ロハコ)」に専門サイト「こころのアトリエ はせがわ」を開設したほか、家具専門メーカーと協同開発した「はせがわLIVE-ing(リビング)コレクション」をAmazonで販売を開始。実店舗とネット店舗を融合させた、新たな顧客獲得を進めていくという。

(つづく)

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