【縄文道通信第35号】天職ガイド 縄文人の職の現代へのつながり 縄文道 ― 武士道 ― 未来道(前)
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(一社)縄文道研究所
NetIBNewsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第35号の記事を紹介。
縄文時代の服装からヒントを得た三宅一生氏
世界のファッションでもっとも注目されるのはフランスのパリ・コレクションである。日本人のファッションデザイナーで世界的に有名な三宅一生氏がパリコレで最近発表した「Session One」という大変迫力のあるファッションが最近発表された。このファッションを紹介する雑誌を見て驚いたのが、すべて縄文時代の服装からヒントを得た作品の数々であった。
三宅氏はすばらしい第六感をお持ちだが、縄文時代の文化遺跡を数々見て、とくに縄文人の着ていた貫頭衣に心を動かされたようだ。縄文人の素朴ながらも溢れんばかりの生命感、躍動感を表現しようと形にした結果が「Session One」である。
縄文人はたしかにイノシシ、鹿の皮を使用した貫頭衣を着ていた。アカソ、カラムシ、大麻などを使用しての縄文編み――アンギンは、現代でも継承されている。貫頭衣は重ね着から十二単衣、そして和服につながる日本文化で、この衣文化は大変奥行きの深いものがある。
従って三宅氏も世界的ファッションデザイナーながら縄文の衣文化を現代に活かし、世界にも影響を与えている。食文化から考えられるのは、貯蔵、煮炊き、食用に使用する土器と漆文化である。
引き継がれる食文化~漆や陶磁器
欧米人が日本工芸品を見て、技術的精巧さ、耐久性、美的美しさを高く評価したのは漆でつくられたさまざまな工芸品だ。漆作品は英語名で「JAPAN」であり、漆は福井県鳥浜貝塚から、約12,600年前の漆の木片が発見されている。
さらに函館の垣ノ島B遺跡から9,000年前の漆の衣服の痕跡が発掘されている。これらは中国での最も古い痕跡(約7,000年~8,000年前)より古い。
漆工芸品は日本中で制作され、現在も漆職人が活躍している、日本を代表する立派な職業で携わる人々は天職を得ているといえる。
縄文土器は縄文時代を代表する生活必需品であり、今から約16,500年前に青森県大平山元遺跡から発掘された土器の破片は世界最古といわれる。現在日本には北から南まで、約8,000~9,000カ所から土器を中心とした遺物が発掘される。日本列島で約14,000年続いた土器文化は、現在も脈々として継承されている。
縄文土器の系譜の土師器から六古窯(備前、丹波、越前、信楽、瀬戸、常滑)は多くの陶工が活躍し、地場には窯業産業が存在する。陶磁器は明治時代、3大輸出商品の1つ(ほかは生糸、茶)でもあった。現在はこれら窯業産業から最先端の半導体の基礎資材のシリコンが生産され、日本の半導体産業の一翼を担っている。
現在、日本の和食は世界から注目されているが、ほとんどの食器は陶磁器か漆の器であり、それらに日本の海と山の幸が美しく並べられている。相撲は日本を代表する国技であり、力士はチャンコ鍋という縄文風の大きな鍋であらゆる海と山の幸を煮て食している。日本には北から南まで各地方の特産品を使用しての鍋料理が盛んであり、地場の日本酒はさまざまな趣向を凝らした陶器製の徳利とお猪口で供されており、現在もある意味で縄文文化を楽しんでいるといえる。料理人も、縄文文化から引き継いだ食を供する天職を得ている人々である。
(つづく)
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