豪雨による被害は世界を飲み込みつつある:最大の危機は中国の三峡ダムの決壊
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2020年7月17日付の記事を紹介する。
日本では九州、中部、東北地方など各地で豪雨被害が相次いでいる。安倍首相は甚大な被害に見舞われた熊本県を視察し、災害復旧のために4,000億円を超える予算を投入すると宣言した。新型コロナウイルスも終息しない状況が続いているため、ダブルパンチへの対応に四苦八苦していることは間違いない。
とはいえ、自然災害の脅威にさらされているのは日本だけではない。2020年5月以降、6月、7月と世界各地で大雨による洪水が発生し、かつてない程の広範囲にわたり大きな被害が報告されている。中国では443の河川が氾濫し、そのうち33の河川では過去最高の水位を記録。大半の河川は中国最大、最長の揚子江の支流である。
問題はその揚子江に建設された世界最大を誇る三峡ダムが決壊するのではないかと危惧されていることだ。国境を接するベトナムでも巨大台風や地球温暖化が原因と目される海面上昇による経済的損害が増え続け、すでにGDPの1.5%を奪っている。
(略)
このように世界各地で大雨による洪水被害が同時に発生しているのは前代未聞のこと。なかでも中国の状況は世界の株価にも影響をおよぼし始めており、かつてない程、深刻である。アメリカとの貿易戦争やコロナウイルスの発生源をめぐっての非難の応酬合戦が続く中国であるが、世界最大の水力発電ダムである三峡ダムが決壊の危機に瀕していることは看過できないだろう。
何しろ6月半ばの梅雨入り以降、中国の南部と西南部では、今日まで大雨と集中豪雨が続き、多くの河川が氾濫。その結果、31ある省のうち、26もの省で洪水が発生。被災者は3,800万人を突破。224万人近くが緊急避難を余儀なくされている。経済的な損失は5,000億円近いといわれる。中国最大の淡水湖である鄱陽湖(江西省)では水位が23mに上昇し、警戒水位の20mを軽く突破してしまった。中国政府は人民解放軍の部隊7,000人を投入し、人命救助や堤防増強工事に当たらせているが、焼け石に水といった状況のようだ。
そうしたなか、揚子江中流に位置する三峡ダムが大量の雨水の圧力で決壊するのではとの危惧が出てきたのである。万が一、ダムが決壊すれば、約30億m3の濁流が下流域を飲み込むことになる。4億人から6億人もの被災者が出るとの予測もあるほどだ。安徽省、江西省、浙江省などの穀倉地帯は水没の危機に瀕する。
河口には上海が位置するが、その都市機能は壊滅的な被害を受けることになる。上海に限らず、流域に位置する重慶や武漢などの経済、工業地帯には日本企業も多数進出しており、コロナ禍以上にサプライチェーンが寸断されることにもなりかねない。
※続きは7月17日のメルマガ版「豪雨による被害は世界を飲み込みつつある:最大の危機は中国の三峡ダムの決壊」で。
著者:浜田和幸
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