2024年07月16日( 火 )

「石橋高組」の挑戦~解体現場で建設発生土を再資源化 SDGSプロジェクト・スタート

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 解体工事を手がける(株)石橋高組は、建設汚泥などを安全で活きた土に改良する「レストム工法」を導入し、福岡市内の現場で実施した。杭抜き工事で生じる杭孔の埋戻しに、同工法による改良土を活用したのは日本初の試み。 

地中に埋まっている杭

 今回取り組んだのは“現場外”で製造された改良土ではなく“現場内”で再資源化された改良土に流動性を与え、埋戻す方法だ。
 従来、杭抜き後の埋戻しは、土砂などを使用し水で締固める「水締め」や、セメント系で混合された流動化処理土が主流であった。しかし「水締め」には地盤沈下のリスクがあり、流動化処理土には石質化し硬くなりすぎるという難点がある。
 他方、レストム工法は固化材(DF材)の主成分にフライアッシュ(石炭焼却灰=リサイクル資材)を使用し、ほかにセメント、無水石膏、不溶出化剤などで構成される。六価クロム、鉛やヒ素、重金属等の溶出を抑え、アルカリ性抑制により直接緑化可能な土壌を形成し、土としての適度な強度を有しながら、再掘削、再転用を可能にした技術だ。

抜き出された杭

 「レストム工法」は「レストム工法研究会」(本部:宮城県仙台市)が20年前に開発した技術。東日本大震災時の復興工事においても津波泥土、杭汚泥等の再資源化に貢献した。
 西日本支部(福岡県久留米市)は6年前に発足(支部長:石川友洋氏)。九州地区や広島県で活動している。同支部事務局長・中島春樹氏は各地でレストム工法の研究、普及活動などを行っており、長崎大学(大嶺教授)と産学連携を締結。さまざまな難題案件の研究、施工に取り組んできた。こうしたなかでSDGS私募債の発行など環境問題に取り組む石橋高組が「レストム工法」を導入し、責任施工にあたった。改良施工は(株)三洋基礎が広島県から改良機、改良施設を持ち込んで実施した。

 コストよりも環境を重視した挑戦であったが、当初の施工計画よりも2~3割の工期短縮と経費削減を達成し、また現場内の施工性や安全性向上に大いに役立った。地域住民の社会環境の保護のため一ヶ月後に杭孔の土壌状態を検証する予定だ。

 工事関係者は「大口径の杭抜き工事は気を抜くと大事故に発展する危険なもの。石橋高組さんの現場は何処も整然としており、今回の取り組みも環境意識の高い同社らしい試み」として期待を寄せる。
 石橋高行社長は「今後の土壌の様子などを注視する必要があるが、成果を見ながら積極的に取り組んでいきたい」と循環型社会形成の役割を担い社会貢献に寄与する考えだ。

現場内で改良土を再資源化

<COMPANY INFORMATION>
(株)石橋高組

代 表:石橋 高行
所在地:福岡市西区拾六町5-11-42
設 立:1984年6月 
資本金:2,000万円
TEL:092-881-0283
URL:http://www.ishibashitakagumi.com

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