2024年12月23日( 月 )

【抗ウイルス物質松かさリグニン(2)】インフルエンザに対する驚くべき効果~サイトカインストームも防ぐ(3)

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アトピアクリニック院長 稲葉 葉一 氏

 DEVNET INTERNATIONAL ASSOCIATIONより、極めて強い抗ウイルス作用を持つ物質「松かさリグニン」に関する稲葉氏の論考を提供していただいたので、掲載する。


(長谷川氏によるリグニンの抗インフルエンザウイルス効果に関する説明)

 図 2 は、リグニンがインフルエンザウイルスの増殖を抑制する様子を示すものである。 この試験には、イヌ腎臓由来細胞株MDCKを宿主細胞として、インフルエンザウイルス(H1N1)の非感染あるいは感染下で、種々の濃度(0.15~2.5mg/ml)のリグニンと混合培養する in vitro モデルを用いた。

 その結果を図 2 に示す。図中の横軸はリグニンの添加濃度を、縦軸は宿主の生存率 を示す。

 インフルエンザウイルスの非感染(□:virus noninfection)下においては、宿主細胞胞の死滅はまったく観察されなかった。このことは、リグニンは 0.15~2.5mg/mlの濃度では宿主細胞に対して毒性がないことを示すものである。一方インフルエンザウイルスの感染(■:virus infection)下においては、リグニンが無添加(0.0mg/ml)では宿主細胞が100%死滅したことを見て取れる。

 しかし、リグニンの添加濃度が高くなるにつれて、宿主細胞の生存率が増加した。すなわち、リグニンが濃度依存的にウイルス感染を抑制したことを示している。計算によって、リグニンはその添加濃度が0.21mg/ml、0.43mg/ml のときに、ウイルス感染をそれぞれ50%、90%抑制することが明らかとなった。

 この結果から、リグニンがインフルエンザウイルスの増殖を抑制することが明らかになった。このことは図 1 で示したように、リグニンがインフルエンザウイルスと結合することで、ウイルスの宿主細胞への侵入、すなわち感染を阻害した結果と考えられる。

 図 3 は、リグニンが致死量のインフルエンザウイルスを感染させられたネズミを助命する様を示すものである。試験には、ネズミに致死量のインフルエンザウイルスを、リグニンの非存在あるいは存在下で脳内に感染させ、その後の延命率を日ごとに観察するという in vivo モデルを用いた。図 3中の横軸は感染後の経過日数を、縦軸は宿主動物の生存率を示す。

 リグニンの非存在(○)下においては、ウイルス感染6日以降宿主動物は死滅し、最終的に感染から逃れたものは 30%に過ぎなかった。一方リグニンの存在(●)下においては、ウイルス感染6日以降死滅する宿主動物は1匹も発生せず、最終的に感染から逃れたものは全例(100%)であった。これは、リグニンがウイルス感染を抑制したことを示している。

 この結果から、リグニンがインフルエンザウイルス感染から宿主動物を助命するこが明らかとなった。これは図 2 で示す試験管レベルの結果を、 動物レベルで証明したものといえる。

(つづく)

(2)-(2)
(2)-(4)

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