【スクープ】大分県由布市の移住促進事業で「官製談合」疑惑 隠蔽目的で公文書偽造と文書改ざんも
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入札企業の選定を事業者に依頼
大分県由布市のUIJターン推進事業で、不正な事業者選定が行われていたことがわかった。由布市役所職員からの内部告発を受けて取材を進めたところ、不正を隠蔽するために公文書偽造と文書改ざんが行われた可能性も出てきている。
不正が行われたのは、令和2年度の由布市移住相談受付等業務。事業者に選ばれたのは福岡市内のA事務所で、A事務所の代表は昨年夏ごろにこの事業への参加を求められ、今年に入ってからは「入札」(※)形式をとるためという名目で、A事務所以外の複数企業から見積を取ることを依頼されていた。A事務所の代表はつきあいのあった福岡市内のB社とC社に対して事業費見積を依頼し、結果的にA事務所の見積額が最も低かったことからA事務所が事業者に選ばれていた。
※実際の契約は随意契約で行われているが、複数の見積を基に最も低廉な価格を提示した事業者に決定しているため、実質的には入札と同じかたちになっている。事業に関する文書のなかにも「入札」という文言が使われている。 ^
由布市の担当者は当初、データ・マックスの取材に、「見積を出してもらう企業は自分で調べて決めた」としていたが、のちに「A事務所の代表に紹介してもらった」と証言を変えている。しかし、A事務所の代表によると、今年3月25日に由布市役所の担当者と電話で話した際に、「A事務所に決めたいと思うが、見積に説得力をもたせるために複数の企業から見積を取ってほしい」と依頼を受けたという。
偽造された?見積依頼書
A事務所が出した見積額は220万990円で、事業予算の220万1,000円との差額はわずか10円。A事務所が出した見積の日付は4月6日になっているが、この日付は由布市役所の担当者が書き入れたもので、実際に見積が提出されたのは3月末だった。
由布市の担当者は、見積書に3月の日付が入っていては事業決裁日などとの関係で矛盾が生じることから、事業決裁がおりた後の4月6~8日に自ら書き入れたことを認めている。さらに予算が決定する前に出された見積の金額とほぼ一致していることから、事業予算がA事務所の見積額に合わせて決定された可能性もある。由布市役所の担当者は「A事務所代表が由布市出身なので、応援したい気持ちがあった」などと話している。
また、データ・マックスが情報公開請求して入手した関係文書のなかには、A~C社に対して事業費見積提出を求めた「見積依頼書」が存在するが、A社とB社は「見積依頼書は見たことがない」と話し、C社は「警察の捜査等が入った際には証言する」としている。由布市の担当者は、「各社に見積依頼書を送って見積を出してもらった」とするが、市役所関係者によると、不正な事業者選定を行ったことを隠す目的で、事後に作成された「偽造された」公文書だという。
事業を担当した同市総合政策課の佐藤正秋課長は、「一部、不適切な手続きが行われたと認識している。今後は正していく」としている。
背景に湯布院町の「敗北」か
由布市役所の複数の関係者は、こうした不正が行われた背景について、2005年に実施された市町村合併の影響があると話している。
「合併された湯布院と庄内は、極端にいえば文化の違う土地でした。湯布院は市民オンブズマンなどが活発に活動していて市民目線の行政手法だったが、庄内は官尊民卑で役場職員が住民を怒鳴りつけるような土地柄だった。合併で湯布院の文化に統一されればよかったが、庄内が勝ってしまった。そのせいで市役所では職務怠慢と不正が横行しており、今回の件は氷山の一角にすぎない。相馬尊重市長も今回の不正を事前に知っていた。市役所ぐるみと批判されても仕方ない」
【特別取材班】
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