2024年11月22日( 金 )

リチウムイオン電池の世界シェア1位に躍り出たLG化学(前)

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 電気自動車(EV)時代の到来とともに、世界では電気自動車のコア部品であるリチウムイオン電池にますます熱い視線が注がれている。各自動車メーカーも、電気自動車の性能を左右するリチウムイオン電池の開発に社運をかけている。

 リチウムイオン電池市場で世界シェア1位は韓国のLG化学。同社は電気自動車シェア1位のテスラをはじめ、自動車(完成車)メ-カー上位20社のうちフォルクスワーゲン、ルノー、ボルボ、GM、現代自動車など13社に電池を供給しており、高く評価されている。

LG化学の強み~「電池強国」になりつつある韓国

 現在、韓国の輸出の稼ぎ頭は半導体である。半導体は韓国の年間輸出額の20%を占め、韓国の輸出をけん引している。ところが、5年後には半導体市場よりリチウムイオン電池の市場の規模が大きくなるとされている。日本で生産が開始されたリチウムイオン電池は、小型機器などに活用されるようになり、今では生活に欠かせないものとなっている。

 リチウムイオン電池メーカーのLG化学の売上高は約13兆ウォンで、2025年には30兆ウォンに達すると予想されている。LG化学の台頭の背景には、欧州の電気自動車市場の拡大と、中国のテスラ工場への納品がある。一方、LG化学のライバルで、以前は世界シェア1位であった中国のCATLは、コロナ禍で業績にダメージを受けている。CATLはリチウムイオン電池の供給量が前年比28.1%も減少し、世界シェアを23.5%に落としたが、他方、LG化学は供給量が前年比82.8%増加し、世界シェア24.6%となり、1位に躍り出ている。LG化学、サムスンSDI、SKイノベーションを合わせた韓国電池メーカー3社の世界市場のシェアは34.7%に達しており、韓国は「電池強国」になりつつある。

 LG化学の強みは、まず電池メーカーとしての多くの自動車メーカーの採用実績と、世界の主要地域に工場を構えている点であろう。LG化学はポーランドで同社最大の工場を稼働している。欧州地域の完成車メーカーの需要はこの工場がカバーしており、来年には、生産量は70GWhに増産すなる予定だ。米国ではGMに納品するために、工場を建設している。アジアでは、韓国と中国に生産拠点をもっている。

 ポーランドの工場で大量生産しているNCM712というリチウムイオン電池は、正極材の素材であるニッケル、コバルト、マンガンを7:1:2の比率でつくった電池である。エネルギー密度を上げるためにニッケルの含量を70%に高め、高価なコバルトの割合を10%に減らしたことが特徴である。同社はパウチ形の電池が強みで、パウチ形電池では世界でもっとも高い評価を受けている。

 LG化学の2番目の強みは、積極的に設備投資と研究開発を行っている点だろう。半導体分野ではサムスンに負けているが、電池分野では「サムソンに負けるものか」と決意している。昨年は設備投資に1兆1,612億ウォンを注ぎ込んだが、今年は2兆129億ウォンを投資しており、投資額を2倍に増加している。現在、LG化学には150兆ウォンの受注残高がある。毎年30%の成長を続ける市場であるため、LG化学は今年中に生産能力を100GWhに増設する計画を立てている。

(つづく)

(後)

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