JR九州 コロナショックが直撃 21年3月期284億円の赤字転落へ
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JR九州(福岡市、青柳俊彦社長)は9月24日、これまで未定としていた21年3月期の連結業績予想を発表した。売上高は前期比▲32.6%の2,917億円、経常損益は314億円の赤字、最終損益も284億円の赤字。上場以来、通期では初の赤字転落となる。今後の新型コロナ感染動向による大規模な社会活動の制限などは想定しておらず、7月の豪雨災害での復旧費用も算出が困難として予想には含めていない。
JR九州は国鉄から分割民営化されたJR7社の1つとして1987年に設立された。赤字ローカル線を多く抱え、本州3社(JR東日本、JR東海、JR西日本)のように山手線、東海道新幹線、山陽新幹線といったドル箱路線をもたない。上場に際して経営安定基金を国に返納せず、企業価値の向上に使い上場時の売却益を増やすとした方針も、本業の鉄道事業の不安定さがあるからだ。本州3社が鉄道事業の売上高が6~7割を占めるのに対して、JR九州は4割程度しかないのは、不動産や飲食、ホテル事業などを育てる多角化路線を採ってきたためだ。
20年3月期の4,326億円の売上高が21年3月期では2,917億円の見通しだが、セグメント別では運輸サービスが1,737億円→973億円、建設993億円→936億円、不動産・ホテル907億円→776億円、流通・外食1,046億円→527億円、その他721億円→613億円となっている。運輸サービスと流通・外食の落ち込みが大きいが、流通・外食にはドラッグイレブンの株式一部譲渡の影響があるため、やはり影響が大きいのは鉄道事業だ。営業損益段階でも建設や不動産・ホテルは黒字予想だが、運輸サービスは409億円の大幅赤字予想だ。
業績悪化を受け青柳俊彦社長は記者会見で「コスト削減に聖域は設けず、会社のスリム化を進める」とし、JR九州単体では140億円、グループ会社で30億円のコスト削減を計画。来春のダイヤ改正での在来線の減便も検討している。コロナショックで昨年3,800円を超えた株価は2,300円台にまで下落。中間配当は見送るが、年間配当は前期並みを維持する。
【緒方 克美】
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