『脊振の自然に魅せられて』レスキューポイント設置に向けて(1)
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五家荘へ
「脊振の自然を愛する会」のワンダーフォーゲル(ワンゲル)仲間4人と2019年5月に熊本県八代市の五家荘(平家の里)にある白鳥山1,639mのヤマシャクヤクを観賞する山旅に出た。
福岡から車で高速道路に乗り、熊本県の南関ICから人吉市に通じる国道454号へ。山のなかを曲がりくねった国道を進むと、九州の中央にある樅木の集落に着いた。樅木はとても思い出深い場所であり、当時の思い出をここで振り返ってみたい。
大学3年生の時のワンダーフォーゲル部の春合宿では、部員5人で延岡から大崩山―傾山―祖母山―五家荘を経て人吉まで歩いた時に、樅木の集落の入り口の長い吊り橋(かずら橋)を恐る恐る渡った。かずら橋の足元から白波が立つ激しい川の流れが見え、隙間に足を入れたら激流に落ちそうであった。
かずら橋を渡り終えると樅木小学校があり、学生証を見せると保健室に泊めてもらうことができた。翌日は「沈殿日(休息日)」だったため、のんびりと1日を過ごした。先生から「今日は教師が休んで自習になっているクラスがあるため、授業をしてもらえないか」と言われた。児童が15名ほどの5年生のクラスであった。
児童のなかに樵(きこり)の女の子がおり、先生によると「彼女は片道4時間もかけて歩いて登校しているため、血液検査をすると疲労が見えている」とのことであった。後輩のYが算数の授業を行った。夜は個室の保健室でぐっすり就寝できた。
昭和40年代は学生を大切にしてくれる時代でもあった。
レスキューポイント設置のヒント
そのような思い出深い吊り橋を渡り(今では近代的な吊り橋となっている)、小学校を車越しに見て林道を登ると、白鳥山の登山口に着いた。整備された登山道を進むと大きな樹に付けられたレスキューポイントの表示板を目にしたため、「脊振山系にもレスキューポイントを設置できないか」という思いが、登山道を歩きながらずっと頭から離れなかった。
脊振のレスキューポイントには、すでに立てている道標の支柱を利用すれば良い。他地区はレスキューポイント表示のための道標も新たに立てているため、時間が節約できると考えた。
白鳥山の山頂周辺には純白のヤマシャクヤクの群生地があり、ヤマシャクヤク鑑賞を堪能できた。筆者はヤマシャクヤク観賞の山旅は2度目であるが、歳をとったため元気なうちにもう1度見たいと先輩のTに案内を乞うた。
日本山岳遺産認定申請
環境省福岡事務所のOから、脊振山系におけるレスキューポイント設置に関して「日本山岳遺産の活動資金制度があります」とパンフレットをもらった。この制度は、全国で山を愛する人々が登山道整備や避難小屋建設のために資金を提供している。
「脊振の自然を愛する会」は10年近く山での整備活動を行っており、福岡市環境行動賞の優秀賞を受賞した実績もあるため、応募をすることを決めた。早良区で精査してもらい区長推薦として、活動資金30万円で応募した。
昨年の11月7日に2019年度の日本山岳遺産の決定通知が届き、全国で35番目、九州で五家荘、嘉穂アルプスに続き3番目の認定地となった。20年2月15日の日本山岳遺産サミット(開催地:東京都千代田区一橋講堂)に参加し、認定書を受け取った。活動資金は申請通り30万円であった。東京在住のワンゲル仲間も今回の発表に駆けつけてくれた。
(つづく)
2020年10月12日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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