話題を呼んだDeFi(分散型金融)市場(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
今年は、DeFi(分散型金融)が注目を集めた年である。しかし、暗号資産(仮想通貨)をよく知らない人にとっては、この言葉自体をほとんど聞いたことがないだろう。
DeFiには、既存のシステムとは異なり中央集権的な管理主体がなく、住む地域や経済状況に関係なく誰でもアクセスが可能であるため、従来の金融サービスにアクセスできなかった人々にも恩恵をもたらすことができ、金融の在り方を一変させる可能性を秘めている。DeFiとは、パブリックブロックチェーン上に構築されたスマートコントラクトを利用する分散型の金融機能で、Decentralized Financeの略語である。DeFiのシステムは、スマートコントラクトのコードに規定された条件どおりに自動的にプロセスが実行されるため、人や第3者機関の介入が不要となる。
DeFi が初めて利用された有名な例としては、ICO(新規コイン公開)とDEX(分散型取引所)が挙げられる。DeFiは通常では考えられない利息がつく運用方法であり、なかでもとくに話題になっているのがイールドファーミングだ。イールドファーミングとは、レンディングなどのDeFiサービスに暗号資産を貸し出したり提供したりすることで、金利や手数料収入を得る運用モデルを指す。DeFi Pulseの調査によると、今年になってDeFiは急激な成長を遂げ、デポジットの合計金額は110億ドル規模に拡大したとされる。
分散型金融サービスでは顧客が預けた金額の規模で業界のランクが決定される。DeFiのデポジットが10億ドルを上回っている融資プラットフォームは、メーカーダオ(MakerDAO)、 アーベ(Aave)、 コンパウンド(Compound) などがある。また、DeFiサービスの1つであるYearn Financeのトークンであるワイエフアイ(YFI)の価格は、9月13日~30日の約2週間余りで12倍近く(1,195%)まで高騰し、一時加熱気味であった。
DeFiのサービスで活用されているスマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で特定の条件を満たした際に自動的に実行されるプログラムだ。DeFiではスマートコントラクトが稼働させているアプリケーションを利用すると、人が関わることなくアプリケーションが実行される。
DeFiのサービスは、暗号資産を貸すことにより利子を得る「レンディング」と、デポジット(保証金)を預けておくと利子を支払ってくれる「ステーキング」が主流となっている。既存の金融機関のサービスをブロックチェーン上でそのまま実行できるというわけだ。たとえば、利用者が1ビットコインを担保として預け入れると、サービス提供先からステーブルコイン(取引価値があまり変動しないコイン)を配布してくれる。ただし、担保になり得るのは、ビットコインのような数種類のコインに限定され、デポジットのコインを返してもらうためには、借りたコインに利子をつけて返さなければならない。このように利用できる代表的なステーブルコインには、メーカーダオの「メイカー(MKR)」と「ダイ(Dai)」がある。
通常、既存の金融機関から融資を受けるためには、煩雑な手続きが必要となる。しかし、DeFiサービスには信用調査などの手続きは必要なく、借りる人も特定されないため、既存の金融サービスに比べて迅速に融資を受けることができ、透明性や安全性を確保できるというメリットがある。
(つづく)
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