2024年09月09日( 月 )

【速報】傾斜マンション「ベルヴィ香椎」の建替え問題~六番館以外の棟から承認され、建替えを決議!

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 基礎杭の施工不良により杭先端が支持地盤に到達しておらず、建物の傾斜が明らかになっている福岡市東区のマンション「ベルヴィ香椎六番館(以下、六番館)」に関して、六番館の区分所有者による決議(5分の4以上)を踏まえ、六番館以外の区分所有者も含めた団地型マンション全体の承認決議が、11月8日に行われた。

 決議の結果、壱番館から八番館までの7棟(四番館は欠番)、計286戸の議決権の4分の3を超える234票で六番館の建替えが承認された。

 今後は、六番館の建替えに向けて進められていくと考えられるが、かねてから指摘されている通り、六番館以外の棟においても、構造スリットの未施工という施工上の問題、柱・梁接合部検討の省略という設計上の問題などが明らかになっている。

 六番館は基礎杭のみでなく構造スリットも適法な状態となるため、構造スリットが手抜きにより施工されていない六番館以外の棟の資産価値が大きく低下し、六番館と六番館以外の棟との資産価値の高さが逆転することとなる。

 NetIB Newsでは「六番館以外の棟も適法になるよう是正しなければ、安全と資産価値を確保できない」と訴えてきたにもかかわらず、六番館以外の区分所有者が是正の機会を放棄する道を選択したことは不思議であり、何らかの力が働いた可能性がある。

 図面に記された構造スリットが施工されていないことについては、行政から是正の指示を受ける可能性があるため、本来であれば、今回の六番館の問題と同時に解決しておくべきであったが、今後、行政からの是正指示を念頭に置いておかなければならない状態が続くこととなる。

 柱・梁接合部検討の省略という設計上の問題は、建築確認の審査の際に見逃されたという重大な問題をはらんでおり、建築確認を行った行政も巻き込んだ問題に発展すると考えられる。

 六番館は、竣工から25年が経過しており、民法で定められている除斥期間(時効のようなもの。不法行為の責任を負わない期間の定め)である20年を越えているにもかかわらず、マンション販売会社であるJR九州、若築建設、福岡商事が建替えを認めたことは、マンション販売会社が世間に対し、自社のマンションにネガティブな印象を与えたくないと考えたためと推測され、欠陥や不具合を抱えるほかのマンションや販売会社・ゼネコンに多大な影響を与えると考えられる。

 当サイトでも報じてきたとおり、福岡市内にはベルヴィ香椎以外にも基礎杭が支持地盤に到達していないことが判明しているマンションがある。同マンションでは一部の区分所有者が建替えの必要性を主張している。同マンションに関しても、当サイトにおいて報道していきたい。

【桑野 健介】

 NetIB NEWSでは、11月18日より、新たに建築問題に特化したサイトを開設します。
 これまで以上に有用な情報を提供し、サイトを訪れた方のお役に立てることを目指します。ご期待ください。

関連記事