負けを認めないトランプ大統領に見る精神的若さの可能性と限界(2)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2020年11月20日付の記事を紹介する。
さらにいえば、100歳以上の人口について日米で比較をしてみると意外な結果が見えてくる。日本は6万人ほどの「百寿者」と呼ばれる人々がいる。現在のペースで行けば、10万人の大台に乗るのは時間の問題だろう。一方、アメリカには15万人ほどの「センテネリアンズ」が健在する。こちらも増え続けているようだ。
(略)
アメリカといえばファーストフードの普及がすさまじく、トランプ大統領を筆頭に脂肪分の取りすぎで肥満や糖尿病に苦しむ人々が多い。ところが、意外にも人口比で見れば日本より100歳以上の高齢者がはるかに多いのはなぜだろうか。また、それ以上に注目すべきは現役で活躍中の高齢者の数はアメリカのほうが圧倒的に多い点である。この社会的違いはどこから生じているのだろうか。
答えはアメリカで急成長を遂げているアンチ・エイジングの発想にありそうだ。我が国では「抗加齢」と訳されているが、医学やナノテク技術の飛躍的進歩により、身体機能や細胞のメカニズムが遺伝子レベルまで踏み込み科学的に分析できるようになってきた。であるならば、「老化や加齢も1つの疾患」と捉え、予防や治療によって克服していこうという発想が生まれた。
これまでアメリカンドリームの象徴といえば、庭付きのマイホームを手に入れることであった。ところが、2007年夏に巻き起こったサブプライムローン危機の煽りで、住宅を失う人々が急増するようになった。また、成功のバロメーターとして富(マネー)を求める人々がウォールストリート発の金融パニックで地獄を見てしまった。そして、新型コロナウィルスの蔓延だ。
アメリカでは感染者がうなぎ上りで、死者数も23万人と世界最悪を更新中である。いずれにせよ住宅や金銭中心という価値観から、より普遍的な価値観を模索する人々が増えてきたことは間違いないだろう。この社会的価値観の変化の源が健康なのである。
(略)
生きている間はさまざまなアンチ・エイジングの努力や工夫を重ね、自らの夢を実現しようと能動的に動き続けるアメリカ人。そうした好奇心をビジネスとして受けとめる環境こそが、アメリカ人の間でセンテネリアンズが増えていることの一因といえそうだ。倫理的な問題や宗教観の違いを別にして、不可能としか思えない夢を実現しようと国家を上げて取り組む姿勢を見せているのは、「創造的破壊」を繰り返すアメリカのアメリカたる所以ではなかろうか。「そんなことはあり得ない」と既存の常識で否定してしまえば、新たな未来社会は生まれない。
74歳で異常な元気ぶりを発揮し、選挙における負けを認めないトランプ大統領ではあるが、その精神力については「不可能を可能にする存在」なのかもしれない。
※続きは11月20日のメルマガ版「負けを認めないトランプ大統領に見る精神的若さの可能性と限界(第2回)」で。
著者:浜田和幸
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