内紛に翻弄された名門ゴルフ場(2)名門コースを守る!
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理事長・理事総退陣
(株)ザ・クイーンヒルズゴルフ場総務委員会での一齣。Aは「ゴルフ場運営に理事長がいないという異常事態になっていることについて社長どう考えているのか?」という質問をしたという。田原司代表は一切発言をせず、黙視という姿勢を貫いた。参加者からは「アメリカには理事長のいないゴルフ場があったのではないか」と茶々を入れるような発言もなされた。これに対して、「それはパブリックコースのことを指す。我々のゴルフ場は名門コースとして維持していくことがメンバー多数の意見ではないか」というもっともな意見も聞かれた。
Aは危機感を抱き、行動することを決めた。「あの紳士代表の出光さんが理事長を辞任したうえに福岡の経済界のメンバーの理事たちが相次いで辞めていた。ゴルフ場の信用失墜は止めようがない。これではクラブのメンバーたちも不安になるであろう。司代表からはどのようなゴルフ場にするのかに関する発言がなかった。おそらく低価格のゴルフ場という経営ビジョンを描いているのであろう。この流れをストップしなければならない」と覚悟を決めた。
会員開拓の責任を痛感する
Aは創業者・田原学氏と格別親しい交流があったわけではない。学氏と親交深い農協関係者たちがゴルフ場オープンに向けて2,000万円を超える会員権を必死で売りまくっているのを見て、「そんなに真剣にやっているのであれば私も人肌脱ごう」と義侠心を発揮した。瞬く間に二桁にのぼる会員開拓の実績を上げた。「友人たちはよくぞ2,000万円を超える金額を平然と供出してくれたものだ。時代のなせる業か。今日ではそんなに景気を良い人たちはいない」と語る。
Aは当初、ゴルフ場にはたしかに満足していた。博多中心部に居住し、日常生活では自然・緑に餓えているため、緑と光への希求心が強まる。ゴルフ場までは都市高速に乗れば30分足らずであり、前原インターから5分という交通の要所に位置する。半日、緑と光のなかでゴルフに熱中するとストレスが消え気分爽快、健康感が充満してくる。スポーツクラブで過ごすよりも気分を100倍リラックスできたという。
嬉しかったことはゴルフ会員権を勧めた友人たちから感謝されたことである。「Aさん、すばらしいゴルフ場を紹介してありがとう」との言葉を繰り返しかけられた。難易度の高いコースであるが、上記した通り、気分爽快になれるゴルフ場に惚れた。ゴルフコンペも積極的にこのコースで実施し、友人・知人をプレイに誘った。ところが雲行きが不穏なものとなっていく。
名門コースが3級品へ転落への危機
「ゴルフ場の民事再生法が申請され、隣にあるような三級の低価格のゴルフ場に成り下がる」という情報が流れ出した。Aは流れを慎重に見守り、「出光理事長が辞任される状態になった。行動あるのみ」と決断した。会員メンバーに呼び掛けて「名門コースを守る」支持者を固めた。「最終的には800名の支持者を募って、このゴルフ場を名門コースとして絶対に守ってみせる」と意気軒高である。
【青木 義彦】
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