2024年11月21日( 木 )

SDGs時代を生き抜くLED化事業 オリジナル工法で業界をリード

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上内電気(株)

注目集める道路照明のLED化事業

「REMOKA工法」は特殊な道路照明にも対応
「REMOKA工法」は特殊な道路照明にも対応

 上内電気(株)は公共事業を中心に屋外照明灯、交通信号機事業、屋内照明事業の計画、設計、設置などに取り組み、2020年で45期を迎える。「プロ意識をもって仕事をする」「未知への勇気ある挑戦をする」などをモットーに、高い品質方針と品質目標を掲げ、ここ数年は、照明設備のLED化事業に力を注いでいる。

  11年の東日本大震災の教訓から、国はエネルギー政策が考え直さざるを得ない状況となった。エネルギー問題を考えるうえで、消費電力を大きく節約する手法として、屋内外照明、交通信号などのLED化が進められているが、一昔前のような公共事業に大金を使う時代ではない昨今、道路行政に対する予算付けは年々縮小傾向にあるのが現状だ。そうしたなかで、上内電気が手がけるリユースLED「REMOKA(リモカ)」工法に注目が集まっている。

オリジナル工法で業界を席巻

 同社が手がけるオリジナル工法「REMOKA(リモカ)」は、照明器具の外側部分(筐体)はそのままリユースし、内側の光源だけをLED化するという画期的な工法だ。照明器具全部を丸ごと新品に取り替えるよりも、かかる費用は半分程度で済み、筐体部分をリユースすることで、産業廃棄物を減らすことにもつながっていく。また、中の光源をLEDに変えることで省エネにも役立っている。水銀灯に比べて約20%、ナトリウム灯に比べて約35%の電気代で済むので、まさにさまざまな自治体から要請がきているという。

REMOKA工法のキャラクター「リモカちゃん」
REMOKA工法のキャラクター「リモカちゃん」

 また、街路灯の役割は、夜間は道路を照らすのが役目だが、昼間は都市空間のモニュメントとしてまちづくりにも一役買っている。高度成長期やバブル期には、周辺の景観に合わせて「デザイン灯」と呼ばれるおしゃれな街路灯がたくさんつくられた。今、ここにきて、その「デザイン灯」を新しくLED化する時期がきているというが、LEDに切り替える作業が少々やっかいなことになっている。大量生産している照明器具と異なり、デザイン灯は新しくつくるのに費用がかかりすぎるからだ。そこで、REMOKA工法が注目される。中の光源だけをLED化するREMOKA工法なら、周辺の景観を損なうことなく、LED化できるからである。

世界目標SDGsを宣言し 企業イメージの向上を

社内写真
社内写真

 国連が定めた持続可能な開発のための17のゴール「SDGs」。上内電気もこのSDGsの取り組みを宣言している。REMOKA工法の5つのコンセプトである「脱水銀」「省電力」「省予算」「省産廃」「景観保全」は、それぞれSDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」、ゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、ゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」が当てはまる。

 さらに、同社はゴール5「ジェンダー平等」にも力を入れている。電気工事業界は長らく、「男性職場」と言われているが、最近は女性スタッフが増えて、職場が活気づいてきているという。女性の電気工事技術者も在籍し、女性の営業スタッフも大きな戦力となっているという。

 最近では、女性スタッフの活躍をより促そうと、就業規則の改定も行った。出産や子育てがしやすくなる職場環境の整備にも力を入れているのだ。

電気工事からコンサルティング事業へシフトし新たなステージに挑む

 新型コロナウイルス感染症の影響で、国も自治体も今後の財政の逼迫は避けられそうにない。そうしたなか、元手なしで、道路照明をLED化する「ESCO(エスコ)事業」という方法が近年に注目を集めている。

 上内電気のような施工管理業者とLEDメーカー、リース会社の3社がタッグを組んで行う事業で、LED化するためにかかる初期コストをリース会社が負担して、毎月発生する電気料金の差額で初期にかかったコストを返済していくという仕組みだ。LED化を導入したい自治体は、LED化する予算を確保していなくても「ESCO事業」を活用すれば、街の街路灯をLED化することができる。照明灯の本数や規模にもよるが、概ね5年から10年で完済するという。償却期間が終わった後は、電気料金の差が黒字となっていくので、財政難の自治体でも早期にLED化を進めることが可能なのだ。

 上内電気は、これまでは電気工事業に力を入れてきたが、今後は、企画・提案力を生かして、道路照明の総合コンサルティング事業という新たな領域にシフトしていくつもりだ。「ESCO事業」を活用して、LED化を進めている自治体でも、デザイン灯などの特殊な照明器具はどうしてもLED化が難しい。そこをオリジナル技術のREMOKA工法と現場で長年培った工事の経験を生かし、大手企業が受注しにくい案件を請け負っている。

 同社は現在、将来を担ってくれる若いスタッフを募集している。男女問わず、電気工事の経験や営業経験は問わないという。経験を積んで、実績を上げれば、男女差別なく、管理職の道も目指せる。上内電気は若い人材を育てて、新たなステージへと歩を進めている。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:境 のり子
取締役社長:境 泰二郎
所在地:福岡市中央区舞鶴3-6-23
設 立:1971年8月
資本金:2,000万円
TEL:092-731-5581
URL:http://www.kamiuchi.com


境 泰二郎 氏<プロフィール>
境 泰二郎
(さかい たいじろう)
1949年1月5日生まれ、大牟田市出身。県立三池工業高校卒業。71年8月に個人創業し、76年4月に上内産業(株)として法人化。90年3月に現商号の上内電気(株)に変更した。趣味は水泳。

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