世界平和に向けて(14)外国人技能実習制を活用する受入企業の真意と実態〜「ガトーフェスタ ハラダ」洋菓子の(株)原田(中)
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今回のコロナ禍で、外国人技能実習制度(以下、本制度)について知ったという人は意外と多いのではないか。本制度の目的は、開発途上国への技術・情報提供を基にした社会貢献事業であるが、中小企業を中心に人材不足を補完するための制度となっているのが実情だ。本制度を利用し、ベトナムを中心に実習生を招き入れ、洋菓子の製造・販売業を行っている(株)原田に話を聞いた。
中国からベトナムへ、実習生と企業の関係
近年の技能実習生はベトナム人がもっとも多く、次に中国、韓国などのアジア圏を中心とした国が多い。以前は中国がもっとも多かったが、直近の9年間ではベトナムからの実習生が急増している。その要因の1つに、中国の経済成長による生活水準・人件費の上昇や国際政治上の問題もあるだろう。
原田氏は、「2008年から中国から技能実習生として60名受入れを行ってきましたが、中国国内の賃金上昇や円安元高の影響から、実習生の働く意欲が低下し対応に苦慮していました。そのようなときに、日本に対し友好的であり考え方が日本人に近いベトナムからの実習生の情報を得る機会があり、迎え入れることになりました」という。
実習生を中国人からベトナム人に変更する際には、コミュニケーションの難しさが課題の1つだったようだ。中国語は漢字を使うため、漢字を通してコミュニケーションが取れないということはないが、ベトナム語はそれとはまったく異なり、英語が通じない実習生も多く、通訳者が必須となった。製造工場の現場で実習生に働いてもらっていたが、当時は大変な時期もあったという。
原田はこれまで、ベトナム技能実習生22名の受入れを行ってきた。原田氏は「協調性もあり勤務姿勢も真面目で業務習得状況も良好であり、製パン部の戦力となっています」とベトナム実習生を高く評価する。実習生の教育においても、日本語能力検定試験の受験料を負担するなど、積極的に支援している。実習生のなかには、同試験2級(日常的な日本語の理解に加え、幅広い日本語が理解できるレベル)の合格者も出ているとのことだ。
また、昨今問題となっている実習生の犯罪率の上昇について、原田氏は「何も知らない国に学びにきてくださっている実習生に対し、企業が日本の文化について教育・研修をすれば、そのような問題の多くを防げます」という。実際、原田は実習生が日本文化に触れ合う機会を設けることに留まらず、普段の生活指導なども積極的に行っている。人とのコミュニケーションやゴミ出しなどの生活習慣においても、経験のある実習生と一緒に教育を行うことで、地元住民との関係を良好に保っている。
(つづく)
【麓 由哉】
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