2024年12月22日( 日 )

内紛に翻弄された名門ゴルフ場(3)名門コースの再建は?業界の目~ザ・クイーンズヒルゴルフ場の民事再生手続き開始決定

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 Net-IB News「ザ・クイーンズヒルゴルフ場 債権者集会開催 スポンサー候補多数」で報じたように、(株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場が12月7日、福岡地裁より民事再生手続きの開始決定を受けた。負債総額は約168億円(2019年7月時点)。当サイトでは、同ゴルフ場創業者の長男である田原司氏の不明瞭な経営について、何度も警鐘を鳴らしてきた。しかし、ついに大口債権者や旧クラブ理事など第三者から民事再生手続きを申請され、田原氏は代表権を失う事態となった。

ビジター向けの回数券販売が大きな不評

 福岡県内名門ゴルフ場支配人は、今回の事態について下記のように語った。

 「遅かれ早かれこうなることは誰の目にも明らかでして、なるべくしてなったと思います。クイーンズヒルは、誰もが認める名門コースで、交通面でもアクセスしやすく、コースもすばらしい設計であり、接遇なども名門コースに相応しいものです。

 クイーンズヒルの11月の利用客数は、以前よりわずかに減少した程度で、商況は、概ね堅調でした。4月ごろよりコロナ割引などの名目で、平日の現金払いに限り3枚つづりで2万8,000円の回数券をビジター向けに発売しました。しかし、この回数券の発売は、メンバーにとって何のメリットもなく、メンバーの意向を完全に無視した行為です。

 資金繰りがひっ迫し、目先の売上を立てようとしたのではないかと考えられますが…今まで我慢していたメンバーも非常に怒っていたようです。当社のクラブハウス内でも『クイーンズヒルの3枚つづりの回数券の販売は、けしからん!』と憤慨していたお客さまが散見されました。客観的に見ても、3枚つづりの回数券の販売は、名門コースにふさわしくない営業手法でした」。

 「ゴルフ会員権の販売業者は約2年前から、クイーンズヒルの会員権を扱うことを敬遠していた。クイーンズヒルの経営体制が、不明瞭で、」先行きに不安を覚えたからです。メンバーやゴルフ場で働くスタッフにとっても懸念のぬぐえない日々であったと思います」。

理解あるスポンサーの出現は?

 同支配人は、クイーンズヒルの再建について下記のように述べた。

 「名門コースという矜恃を保って再建がなされることを期待しています。伝統と格式を理解するスポンサーに支援してもらえると良いです。ゴルフ場は、心置きなく安心・安全にプレイを楽しんでもらうことが大前提であり、付加価値の創造も大切です。メンバー、ビジターの双方に喜ばれるコースでなくてはいけません。

 例を挙げると、コースはきれいであり、きめ細かく手入れが行き届いているか、各コースの特性を活かしているか、キャディなどの人的なサービスと接遇…つまりコースとサービスの管理を、常に向上するように取り組んでいるかが大事です。

 クイーンズヒルは、伊都ゴルフ倶楽部・志摩シーサイドカンツリークラブ・福岡雷山ゴルフ倶楽部と並ぶ福岡西部地区のゴルフ場の代表格の1つです。新たな経営体制のもと、名門が再建されることを一心に祈っています」。

 クイーンズヒルの民事再生手続きの開始決定の翌日に、「担当弁護士から従業員に、『営業は継続。今回の賞与はなし』と通告された模様」(同支配人)という。

【河原 清明】

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