11月のM&A、件数で前年割れも大型案件は今年最多~ストライク調べ
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M&A仲介・ストライク(東証一部)は、10月のM&A動向(※)を集計した。11月のM&A件数は前年比5件減の81件で、4カ月連続で前年を下回った。4カ月連続の前年比マイナスは2015年10月~16年2月(5カ月)以来だが、11月としては過去10年で最多だった前年につぐ高水準。月間80件を超えるのも、新型コロナウイルスの感染拡大の初期である3月の88件以来だった。また、取引金額100億円超の大型案件が9件あり、2月(8件)を上回り、今年最多となった。1~11月の累計は771件。
4月以降、コロナ禍の影響で海外案件にブレーキがかかったものの、国内案件が底堅く推移し、件数を牽引してきた。81件のうち、海外案件は15件。4カ月連続で前年を下回る結果となったものの、件数水準そのものは一定レベルをキープしている。
取引金額は5,097億円(前年同月は約3,100億円)。金額1、2位はいずれも1,000億円超の国内TOB(株式公開買い付け)案件。三井住友ファイナンス&リースは不動産ファンド運用のケネディクスを、三井不動産は東京ドームを子会社化する。金額は前者が1,319億円、後者が1,205億円(一覧表参照)。
※:適時開示ベース、グループ内再編は除く^
11月で目立ったのは、M&Aを通じて不採算事業の撤退や事業縮小を進めるリストラの動きが国内外で加速した点だ。子会社・事業の売却発表は23件で、6月の20件を上回る今年最多となり、件数を押し上げる要因ともなった。
サノヤスホールディングスは赤字の造船事業からの撤退にともない、造船子会社を新来島どっくに売却する。百貨店不況に直面する三越伊勢丹ホールディングスは不動産子会社の三越伊勢丹不動産を米大手投資ファンドのブラックストーンに売却する。一方、海外ではキリンホールディングスが豪州の飲料事業を現地企業に約409億円で売却することを決めたほか、日本郵政が2015年に約6,500億円を投じて傘下に収めた豪物流子会社トール・ホールディングスの事業のうち、業績不振のエクスプレス(宅配便など)部門について売却検討を発表した。
九州・沖縄のM&A
20年11月の九州・沖縄地域のM&A発表件数は2件で、取引金額は約202億円だった。取引金額が多かったのは九州を本拠にセメントや建築・土木、医療関連など広範な事業を手がける麻生(福岡県飯塚市)が、東都水産に対してTOBを実施する案件。麻生は3分の1超の株式取得を目指すが、買付予定数の上限は設けておらず、50%超を取得し、連結子会社化することも想定している。買付代金は最大約181億700万円。東都水産は豊洲市場での水産物取扱高で19%のシェアをもち、同市場内卸売業者7社中2位の大手。麻生グループは東都水産を傘下に収めることで、食という新たな事業領域への展開に弾みをつける。
もう1件はカクヤスグループが、業務用酒類販売のダンガミ(福岡市)の全株式を取得し、子会社化することを決めた案件で、取得金額は21億4,600万円。ダンガミは福岡、長崎の両県で業務用酒販店を展開し、小売直営店舗も福岡市内を中心に10店舗を運営している。カクヤスは今年5月に同じく福岡市にある酒類販売のサンノーを傘下に収めている。
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