自然免疫力を高め、万病に立ち向かう生き方を!(4)
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医学博士・統合医療医師
(ホリスティッククリニック銀座 院長)
小林 常雄 氏最近では、多くの新聞、雑誌に「免疫力」という文言が躍るようになった。コロナ騒動で、多くの人々が「自分の身体は自分で守る(自己治癒力)」の大切さに気づきはじめたためだ。加えて、コロナ騒動が去っても、第2、第3のパンデミック、エンデミックが人類を襲うことも間違いない。
国立がん研究センター、京大、東大などで約40年の研究実績があり、2万2,000人を超える、がんの予知・予防を行ってきた小林常雄 医学博士・統合医療医師(ホリスティッククリニック銀座 院長)は、「がんを治すことより大切なのは、“免疫力”を高め、がんにかからないようにすること」と喝破する。米国では治療方針検討会に多様な医師が出席
――がんの医療現場における米国と日本の違いはありますか。
小林 日本の場合は、がんと診断されたら、約2割の患者が「うつ病」にかかると言われています。それは、医師の説明の仕方に問題があり、日本の西洋医学が閉鎖的であるためと考えられています。日本の国立がん研究センターにおける、重症患者に対する医師らの検討会は月に数回程度ですが、アメリカの国立がん研究所(NCI)、大学病院などでは、ほぼ毎朝行われています。
しかし、もっとも大きな違いはこの頻度ではなく、検討会を構成するメンバーです。日本では、その病名に関する医師(MD、医学士)らのみが集まる検討会であり、患者の対処においても担当医が外科医であれば、外科医の検討会で治療方針を決めます。
一方、アメリカには、「MD(医学士)」の他に「DO(オステオパシー(※1)医)」「HMD(ホメオパシー(※2)医)」「NMD(ナチュロパシー(※3)医)」という4種類の医者がおり、彼らが皆対等の立場で検討会に出席します。また、医師以外のカイロプラクティック、鍼灸、アロマセラピーなどの治療行為を行う人が検討会に出席することもあり、全出席者が対等に意見を出し合って、治療方針などを決定します。そのため、患者が、がんと診断されたときに、がんに対してさまざまな認識をもつことを可能にしているのです。
日本の場合は、西洋医学の「MD(医学士)」だけしか知らないことが多く、その閉鎖空間のなかで、国民が情報不足になり、不安に感じる現象が見られます。米国の「患者中心の医療」に対して、日本の西洋医学界には「権威主義」が残っている傾向があります。
また、日本のがんの医療現場では、免疫を測定していないため、免疫に関する知識がひどく不足しています。一方、米国ではすべての医学部で代替医療や統合医療の教育を始めています。調査によると、日本の医学部生の85%は代替医療や統合医療を勉強したいと希望していますが、現状の教育では、わずか5%程度しか行われていません。
早期発見・早期手術や未病は、あくまで第2次予防
――日本の西洋医学で「未病」という概念が出てきました。小林先生はこの点をどう考えていますか。
小林 日本の西洋医学でいわれる「早期発見・早期手術」や「未病」は、あくまでも第2次予防の概念です。未病の概念は、その具体的な指標がはっきりしておらず、日本ではこのような考え方を、50年前から実施していますが、効果が出ていません。
私はすでに2万2,000人あまりに、がんの予知・予防を実行してきました。がんの増大は、食習慣と関連し「牛乳のカゼイン」と「麦のグルテン」が主要な原因であると、米国コーネル大学のコリン・キャンベル教授(※4)が明確に述べています。「がんが出てくるのを待つがん検診」ではなく、第1次予防を心がけて欲しいと考えています。がんにかからないための食事療法やがん予防の知恵などが数多く提供されており、よく吟味して、活用することも1つの方法です。
(つづく)
【金木 亮憲】
※1:自然治癒力を十分に生かして、身体が本来もっている機能性を取り戻し、健康に導く医学。アメリカでは年間約5,000万人がその恩恵を受けている。 ^
※2:同種療法ともいう。本来、体に備わっているといわれる自己治癒の過程に働きかけ、病気の人の全体のバランスを取り戻し回復させる治療。 ^
※3:身体が本来もっている自然治癒力を高めることによって、心身の治療を図り、健康を確立、維持することを目的とする医療。ナチュロパシーの医師は下記の6つの原則に基づいて、食事療法、栄養学、カウンセリング、ホメオパシー、ハーブ療法、運動指導、マッサージ、リラクゼーションなど自然の代替療法を駆使し、治癒に導く。 ^
<6つの原則>
(1)何よりもまず害を与えない
(2)自然治癒力を尊重する
(3)病気の原因に対する治療を行う
(4)予防を重視する
(5)全人的に治療する
(6)治療家は教育者であれ※4:コーネル大学の栄養学の教授で、栄養とがんの関連の専門家。世界がん研究基金とアメリカがん研究協会のアドバイザーを務める。ダイオキシンやアフラトキシンといった毒物に関する研究や、疫学研究の「中国プロジェクト」(1983年~90年に、アメリカ国立がん研究所が資金提供し、イギリスのオックスフォード大学、アメリカのコーネル大学、中国のがん研究所などの国家機関が実施)を指揮したことで有名。 ^
<PROFILE>
小林 常雄 氏(こばやし・つねお)
1944年鳥取生まれ。69年鳥取大学医学部卒業後、国立がん研究センター内地留学、72年~74年京都大学大学院、79年東京大学大学院卒業。京都大学と東京大学の大学院で生化学を中心としたがんの基礎研究を行い、東京大学で博士号を取得。79年以後、一心総合病院副院長、京北病院院長IMHCクリニック院長を歴任。2015年12月より美浜ホームクリニック・国際がん再発予知・予防センター長を務める。
NHK(ETV)放映の「人間はなぜ治るのか?第2回癌からの生還」治療ルポが大きな反響を呼んだ。16年9月アメリカ総合医療学会で招待講演、「生涯賞」を受賞。
著書として、『ついにわかった癌予防の実際』(主婦の友社)、『癌、温熱治療の科学』(東洋医学舎)、『告知してこそがんは治る』(現代書林)、『ガン病棟7割生還』(トクマブックス新書)、『ガンを消す自己治癒力』(同文書院)、『健康情報革命 ボケ、ガン常識を覆せ』(イーブック新書)、『免疫力を高めるコツ50』(同文書院)、『がんの正体がわかった!』(創藝社)ほか多数。関連記事
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