強欲者同士の対立が 「破滅」か「延命」かを突きつける
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(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直
新型コロナ禍がもたらした大変革
人類の文明史上、600年サイクルで世界大変革が行われてきたことは歴史が示すとおりだ。前回はルネサンス(キリスト教からの解放思考)に始まる、西欧の世界制覇のスタートだった。それを鑑みれば、今回の新型コロナ禍は神が差し向けた警告であるようにもみえる。「人類たちよ、おまえたちはあまりにも強欲すぎるのではないか!」と。
人類を危機に追い込む、自分勝手な振る舞い
強欲の対立とは、世界人口のわずか1%にも満たない富裕層(富者)が世界を制圧しようとする欧米中心の独占資本体制と、アジアの覇者である中国共産党・習近平独裁体制の激突を指す。この激突の行方がいまだ不透明なままなのは、アメリカ社会の変質にある。
新型コロナによるアメリカ国内の死亡者はついに30万人を超え、さらに連日のように約19万人の新規感染者が確認されている。毎日3,000人超が新型コロナウイルスに関連する疾患によって亡くなっており、これはかたちを変えた戦争とみることもできる。かつてのアメリカであれば、これだけ自国の犠牲者を出したのであれば国全体がひとつになって対コロナ戦に立ち向かっていったはずだが、実際はアメリカ大統領選に象徴される国家分断のさなかにあり、効果的な対策がとれていない。
死亡者のうちかなりの割合が、適切な医療を受けられなかった生活困窮者(貧者)だった可能性もある。かの国の所得格差や身分格差はトランプ政権下でますます加速し、ごく少数の成功者たちが自分勝手に生きて我が世の春を謳歌しているのだ。
では、中国はどうか。習金平独裁政権の構想は次のようなものだろう。――近代200年の恨みを晴らすために、まず2040年をメドに経済力で米を圧倒する布石を着実に打つ。それと同時に、隙あらば〈植民地〉拡大を図りたい――
共産党独裁ではなく、あえて「習近平独裁」政権と呼んだのは、この戦略に習近平国家主席の個人的資質が色濃く反映しているからだ。2021年は、強欲者同士の自分勝手な振る舞いによる武力激突さえ予測される。
翻って日本――統治能力ゼロの政権
安倍前首相の立ち居振る舞いを見て、どう感じたであろうか。コロナ禍に対してまともな対策も打てないまま、同盟国アメリカから「中国との局地戦の可能性まで含めた軍事力強化」の要請を受けて精神的にも肉体的にも追い込まれ、2007年に続いてまたしても首相ポストを投げ捨てた。要するに、責任感も胆力も皆無の人間なのだ。そんな人間がまた、菅首相の体たらくを受けて偉そうに発言を始めたという。羞恥心という言葉を知っていれば自ら引退宣言すべき人間なのに、である。
どさくさに乗じて政権を打ちたてた菅首相はさて、何をしたいのかさっぱり見えてこない。どんな国にしたいのかというビジョンや日本が進むべき方向性すら国民に提示できない、本来であれば2流以下の政治家だ。コロナ対策では、支持率を横目で見ながら場当たり対応に終始する間抜けぶりを露呈する始末。まさしく統治能力ゼロで、しかも政権を支えてきた官僚たちも劣化しているから救いようがない。
南海トラフ巨大地震など大災害に備えよ
日本が直面する最も深刻な課題は、人口の激減である。2019年は過去最多51万5,000人の自然減で、2020年はこれを上回る70万人近い人口減という衝撃的数字が待ち受けている。全国津々浦々で、その地域の歴史を紡いできた集落が次々と消滅しているのだ。さらに、いつ起きても不思議ではないとされる南海トラフ巨大地震についても対策を怠るべきではない。国民一人ひとりが危機感を持つこと、そして企業を舵取りする経営者は相当な覚悟をもって経営に専念すべきだ。この未曾有の危機を突破するのは、容易なことではないのだ。
(了)
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