2024年12月21日( 土 )

常識としてのステーブルコインの動向(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 仮想通貨「ビットコイン」の価格上昇が毎日、新聞上を賑わせている。各国の中央銀行はデジタル通貨の導入の準備に余念がない一方、既存の金融システムを根本から揺るがす可能性をもつ分散型金融やステーブルコインにも注目が集まっている。

大きく評価が割れる仮想通貨

 仮想通貨「ビットコイン」の価格上昇が話題になっているが、いまだに仮想通貨に対する評価は2つにわかれている。仮想通貨の否定派は、現在の状況は仮想通貨バブルにすぎず、いつかは崩壊に向かうと主張する一方、肯定派は、仮想通貨の革新性に期待を寄せており、仮想通貨がますます普及されるだろうと予想する。

 実際には、仮想通貨は二重払いの問題を解決できたことによって、迅速かつ低コストで、世界中に送金ができるようになった。加えて、政府機関などに検閲されることもなく、取引記録を絶対に改ざんされないという特徴をもつ画期的な技術であることは間違いない。

 仮想通貨はその匿名性を悪用し、麻薬の取引などの不法な取引に利用されるという否定的な側面もあるが、仮想通貨を支える基盤技術を活用した分散型金融が実現できたら、現在の金融システムは、さらに多くの人にサービスを提供できるようになり、加えてそのコストも下がるだろう。

ステーブルコインの必要性

 ところが、今の仮想通貨には、貨幣としての決定的な弱点がある。それは、価格の変動が激しいので、貨幣の基本要件である価値保存や価値尺度の機能を満たしていないことだ。たとえば、仮想通貨を利用して送金をすると迅速に送金できて送金手数料も安いが、肝心の元本である仮想通貨の価値が減ってしまうと、誰も仮想通貨を使わなくなるだろう。

 このような課題を解決するために、さまざまなチームが2014年から開発に取り組み、仮想通貨の変動性をカバーするために考案されたのがステーブルコインである。ステーブル(Stable)とは、英語で「安定した」という意味で、代表的なステーブルコインは「テザー(Tether、USDT)」だ。

ステーブルコインとは

 ステーブルコインは、ドルやユーロなどの法定通貨の価値に紐づけられるように設計された仮想通貨の一種である。ステーブルコインによって、利用者は仮想通貨の価格の安定性を維持しながら取引や送金ができるようになり、仮想通貨の信頼性は担保されるようになった。

 仮想通貨は、ステーブルコインの利用で価格が安定するようになり、デジタル資産として日常的に利用されるケースも増えるだろう。ステーブルコインの価値が安定しているのは、コインの価値が下がった場合には、コインを償却するように誘導してコイン供給量を減らし、結果的にコインの価格が上がるという仕組みによる。一方、コインの価値が上がったときには逆にコインの供給量を増やし、コイン価格を安定させている。

(つづく)

(後)

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