【IR福岡誘致開発特別連載26】中国政府のカジノ観光客囲い込みと致命傷を負うIR長崎
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筆者が当初から指摘し、予測していた通りのことがまた起こった。24日付の一般紙によると、中国政府は香港に続く中国化の一環として、マカオにおける自国民のカジノ観光客を規制し、国外に出さずに囲い込む方針という。
つまり、中国人民富裕層のすべての観光客に規制をかけて、自国でコントロール可能なマカオ以外での国外カジノ観光を禁止するという施策だ。共産党による独裁政権でなければできない芸当である。
米中の覇権争いが激化するなか、中国問題は米国トランプ前大統領のファーウェイ問題から始まり、バイデン政権でも我が国の安全保障問題も含めてさらに顕著になってきている。このため筆者は、香港・マカオを中心とする中華系の海外IR投資開発企業などには、IR福岡の誘致開発に関するチャンスは一切ないと主張してきた。
また、候補地周辺の後背地人口が少ない長崎佐世保のIRハウステンボスにとっては、今回の中国人富裕層の観光客集客計画は完璧に“致命傷"となる。このコロナ禍のなかで、中国問題は一気に顕著となってきたわけである。
これは、香港の金融開発企業Oshidori International(junket企業)などの中華系企業も同様である。また、相乗りした米国企業のMohegan Gaming Entertainmentも同様に致命傷を負う。なぜなら、彼らが韓国・仁川で実行計画中のIR開発事業「インスパイアプロジェクト」も中国人富裕層が主体の計画であるからだ。
我が国と異なり、韓国国内のカジノは韓国人の利用について1カ所(山のなかの江原道ランド)を除き、すべて禁止していて、中国人の富裕層が来ないと成り立たないという事情がある。
観光客集客が主体の事業計画はあり得ない
筆者は当初から、IR福岡誘致開発のポイントは候補地周辺の「後背地人口の大小」にあると重ねて説明してきた。したがって、海外からの観光客の集客は、あくまでもプラスアルファの計画であるべきだ。
その点、IR福岡は当初から、これらを熟知した米国IR投資開発企業を主体とした計画であり、海外開発企業が主体の香港・マカオとは異なる。中華系のカジノに偏った収益よりも、エンターテイメント全般に重きを置いた米国の民間組織先行のIR事業計画である。当然ながらプラスアルファとして、香港・マカオを含むアジアからの集客と連携計画も折り込み済みとなっている。
IR福岡の関係者の話によると、IR大阪も含めて、米国IR投資開発企業との今後の取り組みは、全米で猛威をふるったコロナ禍によって疲弊した経済環境の打開と密接に関連するという。つまり、近日中に米国議会で承認されるとみられる、バイデン新政権による1.9兆ドル(約209兆円、日本は73兆円)に上る追加経済対策の実行と、ワクチン接種の進捗次第だと聞く。最近の世界的な株価の高騰からその期待は大きく、実行されるものと考えられる。
したがって、我が国でIR事業開発が可能な地域は、当初から言っている東京都中心の関東都市圏、大阪市中心の関西都市圏、福岡市中心の北部九州都市圏の3カ所しかない。和歌山も長崎も困難である。今回のコロナ禍や中国・習近平政権による施策は、海外観光客の集客計画がいかにリスキーであるかを露呈したと言える。
IR福岡誘致開発事業の結論は、日々絞られてきている。そろそろ、福岡市行政と各地元財界関係者も動くべきではないだろうか。郷土の福岡・九州の将来を担う、福岡JCをはじめとした若者たちの民間組織ががんばりに応えて、全面的に協力・支援する必要があると考えられる。これだけの条件がそろっているI R候補地はほかにはないだろう。
【青木 義彦】
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