2024年11月22日( 金 )

派遣業界20年超のノウハウ 外国籍人材のコンサル集団

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地球人.jp(株)(アリックスグループ)

人手不足が深刻化するなか 外国人労働者に希望を見出す

 日本は現在、少子高齢化による労働人口の減少など、さまざまな要因から深刻な人手不足の状態にある。厚生労働省が発表している「有効求人倍率の推移」データでも、2008年のリーマン・ショック後から18年まで9年連続で上昇しており、これは就職者を募集している企業に対し、求職者が少ないことの現れといえる。

 また、経営難などの理由で、従業員の業務負担の増加や長時間・低賃金労働など、いわゆる「ブラック企業」が増えたこと、さらにプライベートの時間を大切にする価値観が広まり、労働者が企業に求める「労働条件」が多様化していることもあって、とくに中小企業の採用事情は厳しい状況にある。

 人手不足を解消するためには、企業側が現在の状況を変える努力が必要であり、働きやすい労働環境づくりが必須だが、中小・零細企業にとってはハードルが高い部分も多くある。通常業務をこなしながら新人を育成していくには時間も手間もかかり、既存社員の負担にもつながってしまう。こうした悪循環に対して、少しでも企業・労働者双方の悩みを解決し、サポートしていくために、今後、外国人労働者の雇用が重要になってくるとみられている。

 厚労省の外国人雇用状況届出(18年10月末時点)によると、146万人超の外国人が日本で就労しているが、この数値は今後ますます加速していくことが予想される。そこで、外国人採用を効率的に行うために活用したいのが、「外国人人材紹介サービス」だ。

 今でこそ外国人労働者の活用は重要視されているが、「近い将来、確実に人手不足の時代が到来し、日本の労働環境は悪化の一途をたどる」という危惧をもち、20年以上前から全国で活躍できる外国人労働者を派遣する事業を手がけているのが、地球人.jp(株)だ。

 同社はグループ代表兼CEOを務める岩本信一氏が1999年7月に(株)アリックスとして設立したのが始まり。2005年に本社を東京へ移転したが、アジアの窓口で創業地でもある福岡に管理機能を集約し、全国展開を行った。また、外国人労働者の獲得・支援を目的に、フィリピンにも合弁会社アリックスワールドマンパワーを設立した。15年5月には地球人・jpを設立し、19年5月にアリックスと統合。現在は東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬、仙台、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡の11事業所で事業を展開している。また、21年には札幌への進出も予定している。

 今ではカンボジアやベトナムに直営の送出機関をもつほか、タイ、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、スリランカ、インド、ネパール、バングラデシュ、中国、韓国、台湾、香港、モンゴル、イラン、ジョージアといった国々にルートを展開する同社は、各国の外国人労働者・留学生の橋渡し的な存在として信頼を勝ち得ている。

地球人.jpの取り組み
地球人.jpの取り組み

独自システムにより外国人労働者の情報を徹底管理

 食品製造に特化した人材サービスを提供する同社は、経営理念として「1人でも多くの地球人の笑顔のために」を掲げ、日々邁進している。近年、外国人労働者に対する賃金の未払いやパワハラといった企業側の問題と、不法就労などの労働者側の問題が多く取り沙汰されている。こうした問題に対し同社では、独自のリクルーティングシステムによりワンストップ型外国籍人材コンサルティングを実現している。

 同社がもつシステムの強みは、スタッフ情報の徹底した管理にある。これは登録・更新時に本部の専門スタッフが派遣システムへ在留資格と期限(留学生の場合は教育機関と学生証期限も加える)をデータ化。もちろん登録者には在留カードおよび学生証を必ず携帯させ、目視による確認も怠らない。そうすることで在留資格や学生証の期限切れなどのリスクを自動的に制御している。労働時間数についても同様だ。登録が済んだスタッフはアプリケーションソフト「JOB@CHIKYUJIN」を使用して、リアルタイムで更新される仕事を選ぶことができる。給与明細の確認・受取もでき、安心して業務に専念することができているのだ。登録者数は約12万人を誇り、1年間に1万8,000人の新規登録が行われている(19年1月時点)。また、(一財)CHIKYUJINによるサポートで、外国人労働者が安定して生活できる取り組みも行っている。

全面的なバックアップで企業も労働者も「笑顔」に

 教育体制にも目を見張るものがある。同社ではモラル・マナー教育、衛生教育、アルバイトの心得、職種別教育、就職セミナーなど、徹底した教育が行われている。日本での「当たり前」を学ぶことで、企業にとってのデメリットを極力なくすよう努めているのだ。

 では実際に、同社のスタッフたちはどのような働きをしているのか。現在、食品製造業では取引件数約120社、稼働人数約3,800人/日、介護事業では取引件数約70社(130施設)、稼働人数約300人/日、FSP事業(飲食店派遣)では約20社(240店舗)、稼働人数約400人/日、19年5月期は売上高約80億円という実績をもつ。こうした実績は「外国人労働者のことなら地球人.jpに任せよう」という同社のノウハウと長年の人脈形成によるものだ。外国人労働者の採用に関して全面的にバックアップしてくれるという信頼関係が見事に構築されているといえる。

 全面的なバックアップの内容はさまざまだ。「派遣」はもちろん、試用期間を決めた「紹介予定派遣」、アジア諸国の現役大学生を斡旋する「インターンシップ」。さらに、アジア6カ国の有能な人材を企業へ紹介する「技能実習生サポート」のほか、外国人労働者の「住居紹介・管理」「キャリアアップ」「有料職業紹介」など、企業・労働者双方の困りごとに幅広く対応する。また、出勤時に本人確認と勤怠計算ができるクラウド型サービス「生体顔認証」により、なりすましや就労時間制限管理、各種証明書期限の確認などがさらに扱いやすくなった。

 19年4月に新在留資格「特定技能1号」が創設されたことにより、14職種限定で就業が緩和され、外国人労働者の活躍の場はさらに増えていくだろう。岩本代表は、「これまでは食品製造業に特化してきましたが、それに加えて農業やIT分野への展開を進めています。とくにITではインド、インドネシア、中国、アフリカでのオフシュアや日本への招聘を進めて、21年度は1,000名/年を見込んでいます」と今後の展開について語る。同社もさらなる躍進に期待したい。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:岩本 信一(アリックスグループ)
所在地:福岡市博多区博多駅東1-9-11大成博多駅東ビル6F
設 立:2015年5月
資本金:5,000万円
TEL:092-434-3135
URL:https://chikyujin.jp


<プロフィール>
岩本 信一
(いわもと しんいち)
1969年5月生まれ、福岡県出身。99年4月に創業し、同年7月に(株)アリックスを設立。2015年5月には地球人.jpを設立。趣味は旅行。

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