東北新社の電波利権、菅首相の天領・総務省との癒着~首相の長男を前面に立て、電波を割り当てる総務省幹部への接待工作をフル回転(1)
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総務省は菅義偉首相の天領である。(株)東北新社は、首相の長男・正剛氏を前面に立て、電波を割り当てる総務書幹部の接待攻勢に全力投球した。総務省幹部らの接待スキャンダルは、政権を揺るがす事態に発展。総務省が東北新社の衛星放送の認定を取り消すことで幕引きが行われた。この事件で、テレビや新聞が絶対に報道しないことがある。「電波利権」の問題だ。総務省は放送と通信の巨大な「電波利権」を牛耳る官庁だ。その急所をつくことは、「電波利権」の恩恵を浴しているテレビとその親会社の新聞にはタブーなのである。
東北新社の4K衛星放送の認定取り消し
総務省は3月26日、総務省幹部を接待していた(株)東北新社が放送法の外資規制に違反していた問題で、同社子会社の衛星放送「ザ・シネマ4K」の認定を5月1日付で取り消す処分を発表した。
「ザ・シネマ4K」は(株)東北新社メディアサービスが運営する洋画専門の有料BSチャンネルで、契約数は約650。放送は4月30日で終了する。武田良太総務相は閣議後の記者会見で「総務省の審査が十分でなく、審査体制の強化を検討するよう指示している」と述べた。
放送法は衛星放送事業者に対する外国資本の議決権比率を20%未満と規定。東北新社は2016年10月の認定申請時に外資比率が2割未満と申告したが、実際は規制の2割を超えていた。放送法では認定後でも外資比率が2割以上になれば、認定を取り消さなければならない。
東北新社は17年8月に違法性に気づき、総務省幹部に違法性を伝えたうえで、子会社の東北新社メディアサービスを設立して認定を承継させたとしている。名指しされた総務省幹部は「報告を受けた記憶はありません」と否定した。「記憶にない」はロッキード事件以来の国会での決まり文句である。
総務省は、「接待を受けた側」の谷脇康彦・総務審議官(当時)ら官僚を国家公務員倫理規定違反で早々に処分し、「招待した側」の菅義偉首相の長男・正剛氏が勤務する東北新社の子会社の衛星放送事業認定の取り消しで幕引きをはかった。
総務省は放送と通信の「電波利権」を牛耳る官庁
総務省は放送と通信の巨大な「電波利権」を牛耳る官庁である。放送や通信に利用される電波(周波数帯)は、総務省が割り当てる。新たに電波が欲しい事業者や、すでに電波をもっていて既得権を守りたい事業者は総務省の官僚や大臣を接待する。総務官僚の裁量で割り当てが決まるからだ。
総務省は18年12月の新4K8K衛星放送開始に向けて帯域の再編を行った。東北新社はBS放送「スター・チャンネル」の電波の一部を返納して、空いたところに(株)ジャパネットホールディングス、吉本興業(株)、松竹ブロードキャスティング(株)の3チャンネルが加わった。
その見返りを得るために東北新社は総務官僚に接待攻勢をかけた。(株)時事通信社の時事ドットコムがまとめた東北新社と総務省の会食と許認可をめぐる動きを見てみよう。接待攻勢は半端ではない。
16年7月から吉田真人総務審議官(当時官房審議官)らが6回会食。16年10月、東北新社、衛星放送事業の認定を申請した。
17年1月、衛星放送事業の認定を受けた。これが、外資規制違反として、今回、事業認定が取り消された。
18年5月、囲碁・将棋チャンネルのCS放送業務事業継続認定。山田真喜子内閣広報官(当時総務審議官)らが26回会食。
20年3月、スター・チャンネルのBS放送拡充許可。秋本芳徳前情報流通行政局らが3回会食。20年9月、(一社)衛星放送協会、衛星放送の負担低廉化を要望。谷脇康彦総務審議官(当時)が1回会食。
20年11月、スター・チャンネルのBSの周波数帯域を一部縮減。吉田氏らが3回会食。 20年12月、スター・チャンネルのBS放送業務認定更新。
東北新社が事業申請と許認可更新の要望と、お礼のたびに接待を繰り返していたことがわかる。東北新社が総務省幹部を接待した計39回のうち21回に、菅首相の長男・正剛氏が同席していたという。
(つづく)
【森村 和男】
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