大型開発続く福岡の物流市場「まだ拡大余地ある」 CBREレポート
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大手不動産仲介・CBREは福岡都市圏の大型マルチテナント型物流施設(LMT)に関するレポートを発表した。同レポートによると、2015年から20年まで年平均7%程度の増加だったLMT面積が、今年から23年にかけて年18%増加していくという。
開発が増加している要因としては、19年第2四半期から20年第4四半期まで空室ゼロの状態が続いていること、大手企業からの需要が高まっていることなどがあげられた。今年完成予定の物件は3棟あるが、満床となる見込みで、中小の物流施設でも空室は少ない状態だという。在庫管理や物流網の再構築が進められているほか、荷主企業からの直接の問い合わせが増加していること、大手荷主企業による成長市場への拠点開設の動きなども、LMTの増加を後押ししているようだ。需要(1社あたりの契約面積)の大型化も進んでいるという。
これらを要因として賃料の上昇も開発を促している。福岡の賃料水準はこれまで、近畿圏や中部圏と比べて2割程度低かったが、空室がなくなった19年第2四半期から急上昇。20年第4四半期の賃料は3,150円/坪と19年第2四半期を1割程度上回った。これにより、デベロッパーが投資しやすい状況となったという。参入企業が増えたことで、首都圏や近畿圏で開発用地を取得しにくくなったことも、地方都市で開発が増加している要因となっている。それでもテナントの内定ペースは早まっており、数年先の開発計画も検討されるようになっているようだ。
さらにCBREは、福岡のLMT市場にはまだ拡大余地があるとみている。首都圏の経済指標とLMT面積を比べた場合、人口1,000人あたりでは1/3、県内総生産10億円あたりでは1/2、製造品出荷額100万円あたりでは1/4に過ぎないからだ。
福岡の物流マーケットはこれまで、福岡市内近郊と鳥栖IC周辺のそれぞれ半径10km圏内に集中していたが、市場拡大を受けて、福岡ICから半径30km圏に広がっている。拡大した物流マーケットでは、テナント決定までに時間を要する可能性はある。しかし、すでに紹介したように潜在的な需要があることから、拡大する物流マーケットが受給バランスを崩すことはないとCBREはみている。22年末にかけて空室率は3.7%まで上昇する予測はあるが、賃料上昇も続く見込みだという。
【永上 隼人】
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