2024年12月04日( 水 )

豊洲市場訴訟、東京高裁が原告・仲卸業者の控訴を棄却(前)

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 豊洲市場の仲卸業者5者が東京都を相手取り、豊洲市場の建築基準法違反の是正を求めた裁判は、1審で請求が却下され、原告が控訴していたが、3月22日、東京高等裁判所(秋吉仁美裁判長)は「本件各控訴をいずれも棄却する」との判決を言い渡した。

 原告の仲卸業者5者は、「東京都中央卸売市場豊洲市場(以下、豊洲市場)の水産仲卸売場棟が建築基準法令に違反している」とし、小池都知事に対して「豊洲市場水産仲卸売場棟の使用禁止と除却の措置をとるよう要請することの義務づけ」を求めて提訴。1審に続き、控訴審でも原告の訴えは退けられた。

 正確な要請内容は、「特定行政庁である東京都の長である小池都知事が、豊洲市場を管理する東京都の長である小池都知事に対して要請」するというものであり、これは「小池都知事が小池都知事に要請」するという構図になる。わかり難いため、下記の図を参考にしてほしい。

 豊洲市場は東京都の公設市場であることから、東京都が所有者であり、都知事が管理者となる。違法建築物について建築物の所有者に是正を要請するのは、特定行政庁の都知事である。従って、小池都知事が小池都知事に対し、豊洲市場水産仲卸売場棟の是正措置を要請するように原告は求めている。

 しかし、東京高裁は「建築基準法18条25項に基づく通知および要請は『行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為』に該当しない」という理由で控訴を却下した。

 豊洲市場は「地下に盛土がない」「有害物質が残存」「壁や床に亀裂」など多くの問題が未解決のまま開場され、営業が続けられている。裁判で原告が指摘している問題点は、豊洲市場水産仲卸売場棟の構造計算が建築基準法令に違反しており、法が定める耐震強度を満たしていないことであり、このため、使用を禁止して建物を除却すべきと求めている。

(つづく)

【桑野 健介】

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(後)

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