最近ネット上を賑わしているNFTとは(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
仮想通貨の代表格であるビットコインは、今年だけでも7~8倍になるほど価格が高騰しており、仮想通貨に対する関心はますます高まっている。2021年に入り、米国Twitter創業者・ジャック・ドーシー氏やTesla創業者・イーロン・マスク氏が仮想通貨のベースになるブロックチェーン技術や、ブロックチェーン技術を活用したNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)をオークションにかけて、それぞれ数億円単位の入札が行われ、急激に話題となっている。
なぜ注目が集まっているのか
これほどNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が爆発的な人気を集めている理由は、まずパンデミックのせいで、展示会などを開催することもできず、コンピュータを使用する時間が否応なく増えたことと関係が深い。加えて、いくつかの話題がNFTに火をつけている。
たとえば、2020年10月、アメリカのプロバスケットボールリーグ、NBAが、試合のハイライト映像を公式に購入し、トレーディングカードとして売買できるNFTプラットフォーム「NBA Top Shot」を開設したことで、NFTの人気は高騰した。
さらに、今年3月には、Beeple(ビープル)というアーティストのデジタルアート作品が6,930万ドル(約75億円)で落札され、その注目はピークに達した。NFTはトークン化されたデジタル資産で、真贋や所有権を証明できるというメリットがあるため、その活用はこれからますます広がっていくだろう。NFTが期待を集めている分野としては、主に「ゲームアイテムの取引」「アート作品やキャラクタ」「真贋証明&履歴追跡」の3つの分野だ。
最近の事例
現時点でのNFT最高額は、この前デジタルアーティストのMike Winkelmann(マイク・ウィンケルマン)が「Everydays」という作品で記録した6,900万ドル(約76億円)である。これは現在活動中のアーティストのうち、Jeff Koons(ジェフ・クーンズ)とDavid Hockney(デヴィッド・ホックニー)につぐ3番目のオークション価格である。
また、Dapper Labs(ダッパー・ラブズ)が運営するNBA Top Shot(NBAトップ・ショット)では、試合中のNBA選手の写真や動画1万631点のうち、たった1点を購入するために、20万人以上が何時間も順番待ちをしたということは、NFTの人気がよくわかるエピソードだ。
NFTの代表的なマーケットプレイスである「OpenSea」の月次取引高は21年1月に約8億円だったものが、2月には約100億円となり、3月には約120億円に達した。またブロックチェーン関連、ゲーム関連のさまざまな企業がNFT市場への参入を発表している。
NFTの課題と今後の展望
NFTは話題を呼び、さまざまな企業が続々と市場への参入を表明しているものの、課題やリスクがないわけではない。専門家はNFTがマネーロンダリングなどの犯罪の温床となることを危惧しているが、それに対する対策はまだ講じられていない。それに加えて、NFTはその音楽やアートの「偽造不可能な鑑定書」としては使えても、音源やアートそのもののコピーを直接防ぐことはできない。
また、そうした「鑑定書」をちゃんと所有していても、データ自体が使えなくなってしまう可能性も十分ある。たとえば、あるカードゲームのアイテムをNFTとして購入しても、ゲームそのものがサービスを停止してしまえば、アイテムは使えなくなってしまうからだ。
このような課題以外にも最近のNFT市場の過熱を警戒する専門家の声も多く、NFT市場はピークを過ぎたという冷めた意見もある。しかし、日本のようにIPを多くもっている国にとっては、NFTは新しい可能性を開く大きなチャンスになるかもしれない。ブロックチェーンの新しい活用領域として、NFTが課題を乗り越えて大きく成長していくことを期待してやまない。
(了)
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