【IR福岡誘致開発特別連載36】バイデン政権と全国IRを含む日米経済安全保障
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先日、米国バイデン大統領は就任100日目にあたり、国民に向けて演説した。新型コロナウイルスのワクチン接種の実績や、440兆円規模の成長戦略を柱とする経済再生策を強調する内容だった。
この経済再生策の本質は、中国の習近平政権との覇権争いである。中国の専制政治に対抗するために、軍事・経済両面の安全保障を軸とした日本を含むアジア諸国との同盟や協力関係にあるとして、強く表明したのだ。
これに関しては、過去の日米同盟と大きく異なり、新たな経済安全保障時代の日米協力の幕開けであるという見方もあり、注目すべき新たな重要政策が多数入っている。
具体的には、半導体を含むサプライチェーンの連携、外為法、マネーロンダリング、知的財産保護に向けた協力、次世代通信システム「5G」から信頼できない事業者を外すことの確認、バイオテクノロジー、A I 、量子科学などと、多岐にわたって踏み込んでいる。そして、我が国のIR誘致開発には、これらすべてが関わっている。
ファーウェイ問題、LINEの情報漏洩問題、テンセント子会社から楽天への出資問題などにおいて、日米の経済安全保障はすでに機能している。昨年、習近平政権が施行した香港国家安全維持法の影響を受け、より厳格に機能させていくことは必至だ。
IR横浜のメルコリゾーツ&エンターテイメントジャパン(親会社:香港)とギャラクシーエンターテインメントジャパン(同:香港)の2社、IR和歌山のサンシティグループ ホールディングス ジャパン(同:マカオ)、IR長崎のオシドリ・インターナショナル・ディベロップメント(同:香港)などは、その対象となる中華系IR開発企業だ。
これらの企業はいずれも、前述のテンセント子会社と同様に中国に本社を置くIR関連日本法人である。各社の経営者たちは民主主義国家の米国や日本に対して好意的であり、世界各地にビジネスの拠点をもっていることから、本音では習近平政権から距離を置きたいとようだ。しかし、そうした彼らの本音を理解したうえで、今回の日米経済安全保障は展開されるわけである。
ほかのIR候補地の各首長は何を見ているのだろうか。この経済安全保障時代に、なぜ、我が国の各IR候補地の首長をはじめとする行政機関と議会関係者は、危機管理に対する意識が低いのか理解に苦しむ。
このことは、コロナ問題にも共通している。ワクチンの確保や接種はいまだに進んでいない。国民の大多数が反対しているオリンピック開催に、なぜ執着するのかなど、理解しがたいことが多い。
緊急事態宣言を出して、「東京には来ないでください」(小池東京都知事)と発言する一方で、聖火リレーの実施や10万人が集まる予定のオリンピックを開催するというのでは、辻褄が合わない。さらには、この環境下で「看護師を500人確保してください」と要望することは、もはや支離滅裂といえる。
地方において公務員給与とIR誘致開発は無関係ではないと思っている。オリンピック開催とコロナ対策の辻褄が合わないのも同様の理屈といえる。6月は公務員と政治家の夏のボーナスの支給時期であるが、この状況下でも間違いなく支給されるであろう。多くの国民が生活に不安を感じているのに、暴動が起きないのは不思議に感じる。
かつて公務員給与を大幅に下げたIR大阪の橋下徹氏、松井大阪市長、吉村大阪府知事のみが、ギャンブル依存性などの反対を受けることなく、市民の信頼を得て本件誘致開発事業を推進できる。政治・行政が行うべきことを行えば、何かをする場合に市民から支持されるわけである。
新型コロナの危機管理は、素早いワクチン接種と経済安全保障にある。軍事と経済再生は別物ではなく表裏一体なのだ。中華系カジノ企業を主体の公募はもってのほかで、日米政府がこれを承認するとは思えない。
IRによるコロナ禍収束後の経済再生は、米国IR企業のみが対象のIR大阪とIR福岡にしか可能性はないと断言する。
【青木 義彦】
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