2024年11月13日( 水 )

子どもたちとまちをつくっていくということ。

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古賀市長 田辺 一城 氏

 古賀市の田辺一城市長より、コンテンツ配信プラットフォーム『note』に5日に投稿した記事の掲載許可を頂いたので、転載する。


「みんなが通っている小学校のことで、『こうしてほしい!』と思うことはないかな!?」

「ぼくたちの教室のテレビを新しくしてほしい!」

「このクラスのテレビだけでいい?」

「・・・。この学校の他のクラスも・・・」

「この学校だけでいいかな?みんなが暮らしている古賀市には、小学校は8つ、中学校は3つあるね」

「全部の学校の全部の教室のテレビを新しくしないと!」

「そうだよね。ここだけではダメだ。となると、全部でいくらかかるだろうね?1つの教室にどのくらいのテレビを買ったらいいだろう?全部の学校、一気に新しくできるだろうか?ちなみに、最近、全部の学校の全部の教室にエアコンがついたね。これ、一気につけたら8億円くらいかかった」

「え―――!!!」

「もしかしたら、順番を決めなきゃいけないかもね。そもそも、学校のエアコンやテレビって、誰のお金で買うんだろうね?」

古賀市・田辺市長
古賀市・田辺市長

 ある小学校の6年生たちと話をしたときのひとコマ。古賀市では私の市長就任後、市長と教育長が給食の時間にそれぞれの学校を回って、子どもたちの声を聴き、意見を交わす「ランチミーティング」を始めました。今はコロナ禍で実施できていませんが、一緒にご飯を食べて、こうしたやり取りをすることは大切ですね。

 ねらいは、まちづくりに子どもたちの声を生かすこと。これに加えて、子どもたちに「私と社会はつながっている」ということを実感してもらい、社会の一員として行動していくための「原体験」を生み出したいという思いがあります。つまり、主権者意識の涵養。

 なお、古賀市は今年1月までにすべての普通教室に大型モニターを新たに設置し、活用を始めています。子どもたちの声に応えられたかな。

 行政には「総合計画」というまちづくりの長期の指針があります。これをつくるにあたっても、子どもたちの声を聴こうと考え、2019年夏、小中学生から「古賀市はこうなってほしい!」との思いを作文で募りました。1200を超える応募があり、すべて読みました。入賞した子どもたちと「コガトーク」と題した対話集会も開きました。子どもたちは本当によくこの社会を見ています。そして、考えています。2022年度から始まる総合計画には、この営みも生かしていきます。

「国際交流・多文化共生のプロジェクトにぜひ協力させていただきたいです!」

 昨年の秋、インスタグラムでダイレクトメッセージが私に届きました。送ってくれたのは、市内の高校生。これがきっかけとなり、古賀市が始めたばかりだった在住外国人の皆さんとの交流の場「つながる!みんなで楽しい日本語」に参加してもらえることになりました。先日、交流の場にテレビの取材が入り、期せずしてそのエピソードも紹介されました。

 この多文化共生のプロジェクトは「同じ地域で、共に生きる」ためのもので、市民の皆さんと一緒に進めていくことが成功のカギ。市長にメッセージを送るのはちょっと勇気が必要だったかもしれませんが、とてもうれしい出来事でした。SNSでつながる輪があり、まちづくりが進んでいく。

 日本も批准している「子どもの権利条約」には、生きる権利、育つ権利、守られる権利とともに、「参加する権利」があります。子どもたちの声を聴く機会を広げ、一緒に社会をつくっていきたいですね。

 今日は、こどもの日。


<プロフィール>
田辺 一城
(たなべ・かずき)
1980年5月、古賀市出身。福岡県立福岡高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、2003年に毎日新聞社入社。11年4月に福岡県議会議員に初当選し、2期務める。18年12月に古賀市長に就任。政治信条は「現場主義」と「対話」。みんなで共に進む「オール古賀」の市政運営でまちづくりを展開中。

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