コンテンツ大国になりつつある韓国(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響などで、コンテンツ産業では好況が続いている。外出する代わりに、家でゲームを楽しんだり、映画やドラマを鑑賞したりすることが多くなっているためだ。韓国のコンテンツ産業は世界で躍進を続け、存在感を高めつつある。なぜ韓国のコンテンツは世界で通用するようになったのか。韓国のコンテンツ産業が強くなった背景を取り上げてみよう。
デジタル化の波に乗る韓国
2020年米アカデミー賞で韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、非英語作品では初の作品賞を受賞するなど、最多の4冠の快挙を成し遂げたのに続いて、今年も在米韓国人が韓国人移民の家族を描いた映画『ミナリ』がアカデミー賞の6部門でノミネートされ、助演女優賞を受賞し、世界的な話題となった。
K-POPグループのBTSは2018年に音楽チャートのビルボードで1位を獲得して以来、世界的なアイドルとなり、世界のファンを魅了させている。
加えていえば日本は世界が認める漫画の「王国」であるが、デジタル漫画である電子コミック市場においては、日本でも韓国企業が上位を占める。韓国はデジタル化の波に乗り、コンテンツ産業においても大きな躍進を遂げているわけだ。
韓国では、理系で優秀な人材は整形外科の医師となり、エンジニアとして優秀な人はゲーム業界に集まっている。韓国のコンテンツ産業は年々成長している。韓国のコンテンツ輸出額は2005年の12.1億ドルだったが、年々右肩上がりに増加して、昨年に100億ドルを上回るようになった。
韓国は5,000年という長い歴史をもっており、地政学的に半島であるため、長い間、外部の侵略を受けるなど、数々の苦難を乗り越えてきた。その歴史に耐えてきた韓国人には、いろいろさまざまな感情が凝縮されている。それをコンテンツとして表現しているため、韓国のコンテンツは見ていて面白い。韓国のドラマに夢中になっている日本人によると、ストーリーの展開がすでに読めていても、韓国のドラマは次の展開が気になってつい見たくなるという。
韓国は市場が小さいため、ドラマや映画は最初から輸出することを念頭に置いて制作されている。すなわち世界で人気を集めるストーリーを基に作品が制作されているといえる。また、Netflixとの協業により、韓国のコンテンツがグローバル展開できる機会が提供されている。Netflixで評判になった韓国映画やドラマは世界的なヒット作になり、全世界に広がるようになった。Netflixとの協業によって資金が提供されて、韓国のコンテンツ会社の資金が潤沢になり、多くの作品を制作することで、人材育成とスキルアップという好循環がコンテンツ業界にもたらされている。
『愛の不時着』や『梨泰院クラス』などの韓国ドラマはNetflixで常に上位にランクインしており、韓国のコンテンツが世界に通用することを証明している。Netflixに加えて、韓国で地上波以外のテレビ局やチャンネルが増えたことにより、作品制作数が増えていることも、コンテンツ産業の発展の1つの要因であろう。さらに、コンテンツの権利関係が複雑な日本と異なり、韓国では、コンテンツの2次利用の許可を含めた契約となっており、権利関係での障壁が低いため、コンテンツを世界に向けて輸出しやすいことも特徴である。
(つづく)
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