2024年11月23日( 土 )

コンテンツ大国になりつつある韓国(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響などで、コンテンツ産業では好況が続いている。外出する代わりに、家でゲームを楽しんだり、映画やドラマを鑑賞したりすることが多くなっているためだ。韓国のコンテンツ産業は世界で躍進を続け、存在感を高めつつある。なぜ韓国のコンテンツは世界で通用するようになったのか。韓国のコンテンツ産業が強くなった背景を取り上げてみよう。

ゲーム産業の現状

スマホゲーム イメージ 韓国のコンテンツの輸出において、最も大きな割合を占めているのはゲームである。筆者が子どもの頃には、勉強せずにゲームを楽しんでいると親に叱られたが、今のゲーム産業は高収入のプロゲーマーがいるほどであり、IT産業のでなかの成長分野の1つである。

 その結果、韓国のコンテンツ輸出でゲーム産業(66.9%)が最も大きな割合を占めるようになっており、その輸出額は63億9,161万ドルを記録している(2018年)。ゲーム会社の利益率は半分以上と高く、ゲーム産業の収益性がいかに良いかということも推測できる。

 韓国で有名なゲーム会社といえいえば、最大手のネクソンと2位のネットマーブル、3位のNCソフトなどがある。しかし、LINEの本社である韓国ネイバーや韓国のLINEに相当するカカオトークなどもゲーム産業に参入しており、競争が激しくなっている。とくに最近では、人々はモバイルゲームを中心に、ゲームを楽しんでいる。

ドラマや映画

 ドラマや映画、K-POPはすでに隆盛を見せている。新型コロナウイルスの感染拡大でコンサート開催ができず、オンラインでミュージックビデオを鑑賞するようになっているが、世界的にファンを確保している韓国のアイドルも多い。

 すでに2,000万人の固定ファンを確保しているBTSを始め、最近人気が急上昇しているブラックピンクなど、世界的に活躍しているアイドルグループは数えればきりがないほどだ。韓国では、スター歌手を誕生させるオーディション番組も多く、高視聴率を叩き出している。そのため、各放送局は競うように似たような番組を編成しているが、それでもなお、そのような番組が人気を呼んでいる。

デジタルコミックという新しいジャンル

 韓国版電子コミックである「ウェブトゥーン」が日本をはじめ、世界各国で人気を集めている。紙媒体の既存の漫画と異なり、電子コミックはフルカラーであり、スマートフォンで縦にスクロールして読むものであるが、既存の漫画に比べてダイナミックであり、とても読み応えがあるという。

 その結果、これまで日本が優位に立っていた漫画の世界で、韓国の電子コミックは存在感を高めている。韓国で電子コミックが本格的に広がったのは2012年からであるが、今は地下鉄車内で電子コミックを見ている人を見つけるのは難しくない。

 韓国では、このように漫画の世界でもデジタル化が早く受け入れられた。最近では、この電子コミックの世界進出だけでなく、電子コミックで成功した作品をドラマや映画化する傾向が強くなっており、すなわちコンテンツの「ワンソースマルチユース」(1つの素材を複数の用途で用いること)が実現されている。韓国は文化の隆盛とともに、コンテンツ産業がますます発展する好循環に入っているようだ。

(了)

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